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パワー半導体に関する5つの注目材料とその開発状況を紹介

データセンターの電源、自動車の電動化、産業用ロボ、再生エネルギーなどの電力系統などではパワー半導体が仕事をしています。

そして新たな領域でのニーズ、さらなる性能アップへのニーズが止まらず、パワー半導体材料の研究開発も世界中で盛んに行われています。

これまでは主な材料としてSi(シリコン)が採用されてきたのですが、こうした多様なニーズに応えるため、新材料の実用化も進められています。

そこでここではパワー半導体の材料に着目し、どのような材料が注目されているのか、それぞれの現状などを紹介していきます。

 

<h2>パワー半導体デバイスにとって重要なこと</h2>

パワー半導体デバイスでは、電力密度向上により「電力単価を低減させること」が重視されます。

そこで、導通の際のオン抵抗低減、ロスの低減が大きな開発目標となります。

 

また、定格電圧別にクリアすべき要件や課題は異なっており、同じパワー半導体デバイスといっても電流容量や周波数は大きく異なります。

例えば100Vは低耐圧系に区分され、IT産業で特に重要な領域です。これに対し家電などは100V600Vの中耐圧系にあたります。さらに運輸、鉄道やエネルギーグリッドなどはそれぞれ高耐圧系、超高耐圧系にあたります。

 

また、整流動作を目的にするのか、それともスイッチング動作を目的にするのかの違いも技術課題を見る上で重要です。

 

<h2>Siのさらなる性能向上</h2>

Siは半導体材料として最も一般的です。しかしまだ性能向上の余地が残されており、以下のような開発が進められています。

 

  • 低耐圧系における「Si-MOSFET」の性能向上(微細化の推進、トレンチ構造の最適化などによるオン抵抗の低減)
  • 中耐圧以上におけるスーパージャンクション構造の微細化
  • 高耐圧系におけるフィールドストップ層の導入

 

また大口径化によるウエハ大量生産の低コスト化もポイントになってきます。

現在主流とされる200㎜ラインから300㎜ラインへの移行が進められており、これを導入することで、同じ製造プロセスでもチップ製造数が大幅に増やすことができます。

 

<h2>次世代パワー半導体材料への取り組み</h2>

多くの電気機器にSiが使われているのが現状です。

しかし「次世代パワー半導体材料」と呼ばれる材料への注目も高まり、世界各地で研究開発が進められています。

 

<h3>SiC(シリコンカーバイド)</h3>

SiC(シリコンカーバイド)とは、シリコンと炭素から成る化合物半導体です。

絶縁耐圧性能がSi10倍ほどあるとされ、バンドギャップも大きいです。これらの性能により、Siでは限界とされてきた高温環境下でも動作できると期待されています。

また、Siよりもロスが小さく、オン抵抗を7割ほど低減できたとの報告もなされています。

 

1200V耐圧のSiC-MOSFETなどはすでに応用研究の段階に入っており、一部、太陽光発電や鉄道などの領域では実用化もされています。またテスラの電気自動車にもSiC-MOSFETが採用されています。

今後は量産に向けた技術開発も盛んに行われると見られています。

 

<h3>GaN(窒化ガリウム)</h3>

GaN(窒化ガリウム)もSiと比べて絶縁耐圧性能や熱伝導に優れ、オン抵抗が小さいという特徴を持ちます。特にGaNに関しては高速性に優れていると言われています。

高周波化によってコンデンサやトランスといった受動部品の小型化も可能となり、システム全体の省スペース、低コストにも寄与するでしょう。

 

<h3>Ga₂O₃(酸化ガリウム)</h3>

Ga₂O₃(酸化ガリウム)に関しては、最近になって研究者数が増加しており、これに伴い学術論文の数も大幅に増えています。

日本の他、アメリカでもGa₂O₃を用いたデバイス開発が多く行われるようになり、ダイオードやトランジスタに関する成果が出てきています。

 

優れた新材料として注目されていますが、Ga₂O₃は熱伝導率がSiやその他新材料と比べても小さく、デバイスの放熱性に難があります。特に大電力で動作したときの自己発熱が問題視され、高い熱伝導率・電気伝導率を持つ他の材料との直接接合も検討されています。

 

<h3>ダイヤモンド</h3>

ダイヤモンドは、SiCGaNといった新材料と比べてもさらに高い絶縁耐圧性能等を有しており、究極の材料として期待されています。

しかし一般に高級な品物と認識されているように、大量生産をするにはコストの面で難があり、また安定的に大口径化をすることも難しいとされています。

国内ではこの問題を解決するための技術が近年開発されてきており、ダイヤモンドウエハの大口径化技術、シリコンとの直接接合技術などが注目を集めています。

 

<h2>まとめ</h2>

SiC(シリコンカーバイド)」や「GaN(窒化ガリウム)」、「Ga₂O₃(酸化ガリウム)」、「ダイヤモンド」など新材料の実用化が進められています。

また、Si(シリコン)に関しても古い材料として廃れたわけではありません。さらなる性能向上に向けた開発、低コスト化に向けた大口径化などにも取り組まれています。

各材料で進捗状況は異なるため普及する時期も異なると思われますが、2025年・2030年を目途にプロジェクトが組まれているケースもあり、この時期を境に新たなフェーズへと進むかもしれません。

 

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