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フッ素という物質について|フッ素樹脂やその他の応用分野など

フッ素は1886年に発見された元素で、フッ素樹脂としてコーティングを施すために使用されたり、歯科保健において歯面に塗布したり、様々な分野で活用されています。ただ、いずれもフッ素をそのまま使っているわけではありません。加工を加えることで人体への悪影響をなくし、むしろ健康のために使われたりしています。ではフッ素そのものはどんな物質なのでしょうか。ここではフッ素に焦点をあてて紹介していきます。

 

フッ素という元素について

フッ素は、元素記号「F」(原子番号9)の元素です。自然界では蛍石や氷晶石などの鉱物として存在していますが、フッ素単体で存在しているわけではなく、鉱物に化学反応を起こさせることでフッ素のみを取り出すことができます。しかし常温常圧だと気体であり、独特の臭いを持つだけでなく毒性も持っています。ハロゲンと呼ばれる元素グループに属しており、単体だと反応性が高く、すぐに他の元素と化合してしまうという特徴を持ちます。そのため自然界だとそのままの状態を維持できないのです。

フッ素と近い性質を持つ元素との比較

フッ素と似た性質を持つのは次の元素です。

  • 塩素(Cl)
  • 臭素(Br)
  • ヨウ素(I)
  • アスタチン(At)


これらはいずれもハロゲン(第17族元素)に属している元素であり、電気陰性度の高さ(原子が電子を引き寄せる力が高い。)、酸化力の高さ(他の物質を酸化させる力が強い。)などの面で共通しています。同じハロゲンという点で共通はしていますが、フッ素はその中でも特に反応性が高いです。保有する電子の数の問題から単体だと不安定な状態であり、すぐに外部から電子を受け取ろうとする作用が働きます。その影響もあり、ハロゲンの中でもっとも強い酸化剤としても知られています。

 

フッ素化合物について

フッ素はそれ単体の状態を維持するのが難しいですし、毒性が高いです。そのため多くの場合化合物として活用されます。フッ素と他の元素を結合させるのです。このフッ素化合物は、大きく①無機フッ素化合物と②有機フッ素化合物2つに分けることができます。

 

無機フッ素化合物とは

無機化合物は有機化合物ではない化合物のことであり、炭素元素以外から構成される化合物を意味します。そのため炭素を含まないフッ素化合物が無機フッ素化合物であるといえます。無機フッ素化合物の代表例はいわゆるフッ化物です。「フッ化ナトリウム(NaF)」のことであり、虫歯予防に効果を発揮する物質としてよく知られています。

フッ化物は水に溶解するとマイナスイオンを生じ、フッ化物イオンの濃度が一定以上になると虫歯への抗う蝕作用を生じます。そのためにはフッ化物を歯の表面に塗布することになります。フッ素自体は危険なものであるため、そのイメージで「フッ化物の塗布が危険」という印象を持つかもしれませんが、フッ化物として化合されることで歯垢中の細菌に作用して虫歯を予防したり歯質を強化したり、歯科保健の面で人体に良い影響を与えます。

 

有機フッ素化合物とは

有機フッ素化合物は、フッ素と炭素が結合した化合物のことです。代表的な有機フッ素化合物としては、フッ素樹脂が挙げられます。フッ素樹脂は高分子化合物でもあり、耐熱性や耐薬品性、耐摩耗性など様々な優れた性質を持った化合物です。PVDFやETFEなどいくつか種類がありますが、もっとも一般的なフッ素樹脂はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)です。

フッ素樹脂コーティングは、フライパンや鍋などの表面加工など身近に使用されています。コーティングを施すことで良い状態に保ちやすくなりますが、コストが高くなる傾向にあるためその点がネックともいえます。また、有機フッ素化合物は医学、農薬の分野でも活用されています。合成医薬品にはフッ素化合物が含まれていることも多いですし、農薬として利用されることもとても多いです。

危険性のあるフッ素化合物と安全なフッ素化合物

有機フッ素化合物の中には環境中で分解がなかなかされず、環境残留性や長期にわたり毒性を維持するものもあり、一部製造が禁止されているものもあります。次の物質については規制がかけられています。

 

規制対象のフッ素化合物

主な用途

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
読み:ピーフォス

金属メッキ、半導体製造、液晶ディスプレイ製造、泡消火薬剤

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
読み:ピーフォア

医療、繊維、電子基板、食品包装紙、自動車、石材、防護服

 
過去には消火器などにPFOSPFOAが含まれていることもありましたが、現代において一般的な消火器にこれらは使われていません。一部の河川、地下水ではPFOSPFOAが検出されていますが、水道水については水質管理の配慮がなされており、安全性が確認されているようです。

また、フッ素樹脂コーティングのフライパンなどを使うことに関しても問題はありません。市販のフッ素樹脂コーティングのフライパンは、かつて製造時にPFOAを使うこともありましたが、2015年以降は使用がされていません。2015年以前のものについても多くの製品には残存していないことが明らかになっており、心配は不要であるといわれています。

 

まとめ

フッ素は単体で自然界に転がっているものではありません。また毒性も持っている元素です。だからこそ1800年代まで発見されておらず、現代においても一部その化合物は製造の規制がかけられています。しかし正しく使えば人体に危険が及ぶリスクはゼロに近づけることができますし、社会的にもとても有用なものです。

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