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注目市場のTOFセンサーを解説!ユースケースや今後の動向も紹介

注目されている半導体デバイスの1つに「TOFセンサー」があります。半導体に携わっている人はもちろん、直接的に関わっていない人でも半導体デバイスの進化は日常生活に影響を及ぼし得るものです。

そこでここではTOFセンサーについて、これがどのようなものなのか、どのように使われているのか、今後の市場動向についても言及していきます。

 

TOFセンサーとは?

TOFセンサーの「TOF」とは、「Time of Flight」の略です。直訳で「飛行時間」を意味するのですが、TOFセンサーにおいては光等の信号の飛行時間に着目します。

 物体までの距離などを計測するのが基本的な役割なのですが、その計測方法として、まずは光もしくは超音波をデバイス側から照射します。そしてその信号がターゲットに反射して返ってきたものを、半導体受光素子が受け取ります。ターゲットとの距離が遠いとその分反射信号を受け取るまでに時間がかかりますので、その時間に応じて距離が計算できるという仕組みです。

 

かつては弱い光信号だと検知が難しく、大きなターゲットを測定するのも苦手としていたのですが、性能は年々進化しており、克服しつつあります。ターゲットが動いている場合でも捉えられるようになり、その結果、人の動きを認識する精度も向上してきています。

 

TOFセンサーの特徴

センサーにも色んなものがあります。TOFセンサーに関する情報を整理しておきましょう。主に以下のような特徴があります。

  • 3次元的な計測も高精度で可能
  • 構成が単純化しやすい
  • コンパクトに作れる
  • 暗い場所でも計測できる
  • 費用対効果が高い

3Dの情報を計測するのが得意で、高い精度を持ちつつシンプルな構成で作れます。スマホにデュアルカメラが搭載されることも増えましたが、デュアルカメラよりも3次元情報の取得精度は高いです。いろんな場所でいろんな応用ができるのも強みです。

ただ、光などを測定に用いるため、信号との見分けが難しい光に溢れている環境下では誤差が出てきてしまいます。例えば、太陽光には様々な波長の光が多く含まれているため、太陽光が強い場だと測定に支障をきたす可能性があります。

 

 Direct TOFPhase TOFの方式がある

TOFセンサーの測定方式として大きく2パターン挙げられます。

Direct TOF方式」と「Indirect TOF方式」です。

 

Direct TOF方式は、上で説明した通りの、照射した光が返ってくるまでの時間を計測するという方式です。

Indirect TOF方式は、照射した光と反射光の位相差を計測することで距離を測っています。飛行時間に応じた光の状態変化を読み取ることで間接的に距離を計測しているのです。遠距離の測定には向いていませんが、小さく回路設計でき、低価格にもできる利点を持ちます。

 

TOFセンサーのユースケース

TOFセンサーがどのようなところで実用化されているのか、その一部を下表にまとめました。

 

工場

・工場内の充填度測定による欠品管理
・ピッキング自動化のための位置検出
・危険エリアへの侵入検出

商業施設

・混雑状況の把握
・入退室管理
・自動ドアの開閉制度を向上させる
・顧客行動データの分析

畜産

・家畜のモニタにング
・搾乳の自動化

農業

・果実の自動収穫
・農機具の自動運転

土木・建築

・安全性担保のための周辺のモニタリング
・施工状況の把握

 

小型のため、多様な場で用いられています。また、2次元センサーだと、商業施設のような人であふれているような場所だと被写体が重なることから測定が困難ですが、3次元情報が取得できるTOFセンサーなら問題なく測定ができます。

 

TOFセンサーは近年の注目市場の1

TOFセンサーの市場は今後の伸びに期待されています。スマホや自動車への搭載で利用が増え、数年間で数倍にまで拡大すると見られているのです。特にIndirect TOF方式は顔認証、AR等での活用が進むのではないかと考えられています。

 また自動車分野においては、すでにセンターコンソールにおけるHMI(ヒューマンマシンインタフェース)として採用されていますが、ドライバーのモニタリングやヘッドライトへの採用も進むとされています。

 

TOFセンサーの今後の課題

今後の発展が期待されているTOFセンサーですが、まだまだ課題も残っています。1つはすでに挙げた「太陽光の影響」です。太陽光と反射光を適切に見分けなくてはなりません。太陽光は非常にパワフルなため邪魔になりやすいのですが、改善策としてはデバイス側のパワー向上、センサーの飽和容量を向上させるということが考えられています。

Direct TOF方式に関しては、パルス11つの確実な捕捉が重要になるため、内部に組み込まれるフォトダイオードの高感度化が重要です。なお、回路規模増大の要因になってしまうことから高画素化は簡単ではありません。設計制約および製造のコストが課題になってきます。 

Indirect TOF方式に関しては、距離画像が得られるまでに時間がかかるのがネックです。ターゲットが高速で動いている場合にはエラーが出やすいため、これを今後解決していくことが重要になってきます。

 

まとめ

自動車や製造マシン、その他様々なところで自動化が進んでいますが、正確な仕事の実現や安全性を確保するためには高いセンシング技術が欠かせません。今後数年間、TOFセンサーが伸びてくると言われており、性能がさらに向上すれば、私たちの生活にも変化が現れるかもしれません。

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