フッ素樹脂の用途とは?よく使われる場面や他の材料との違いなどを紹介
フッ素樹脂には優れた耐久性があります。単に高い耐久性を持つものなら他にもありますが、フッ素樹脂にはさらに化学的な安定性であったり表面の滑らかさであったり、複数の優れた性質が備わっていることから多様な場面で使用されています。ここではそんなフッ素樹脂について、具体的な用途、同じ場面で使用される別の材料との比較などもまとめて紹介します。
調理器具への塗布
調理器具の表面に塗布する形でフッ素樹脂が利用されることがあります。フッ素樹脂を塗布することでお皿などの表面と食材がくっつきにくくなりますし、その結果洗いやすくもなります。また、調理器具表面の保護にも効果的で、損壊を防いで良質な状態を維持しやすくなります。調理器具に使われる塗布剤・コーティングとしてはフッ素樹脂以外に次のようなものが挙げられます。
セラミック |
・セラミック粒子を含むポリマーでできた材料 |
ステンレス |
・耐久性に優れる材料 |
上記の材料に比べて、フッ素樹脂の表面は滑らかで、かつ耐久性に優れています。調理器具としては高い非粘着性を持っているのも大きなメリットです。なお、ガラス素材のものは洗いやすさの面で優れていて衛生的ではありますが、熱伝導性が低いため調理作業に使う器具といては向いていません。
金属やプラスチックへの塗布
フッ素樹脂は金属やプラスチックの表面に塗布することもあります。このとき着目すべきフッ素樹脂の特性は、耐薬品性・耐摩耗性・耐久性です。いずれの性質も良く、金属やプラスチックの表面を保護するのに適しています。フッ素樹脂以外で金属・プラスチックへの塗布に使える材料としては次のものが挙げられます。
アクリル樹脂 |
・水性塗料と溶剤塗料がある |
ナノセラミック |
・セラミックスの微粒子を含む塗料で、耐久性や耐熱性がとても高い |
ポリウレタン塗料 |
・耐候性、耐摩耗性、そして柔軟性を併せ持つ材料 |
エポキシ塗料 |
・硬さ、耐久性、耐薬品性に優れる |
絶縁材料としての使用
フッ素樹脂は、電気を通しにくい、絶縁材料としての特徴も持っています。そのため次のような場面でよく使用されます。
- 電線の被覆
配線に使われる電線などは、むき出しにするわけにいかず、被覆を要する。そのときフッ素樹脂が使用され、自動車や建設機械におけるケーブルの被覆にも使われる- コンデンサー
高温下でも安定性があるため、コンデンサーの絶縁材料としても使われる
フッ素樹脂の場合、絶縁性がとても高いことから、薄く塗布するだけでも高い絶縁性が期待できます。一方、他の一般的な絶縁材料に比べるとフッ素樹脂の方がコスト高であることはネックとされています。
医療器具への塗布
フッ素樹脂の滑らかさ、くっつきにくさなどの性質を応用し、医療器具に使用されることもあります。例えば次のような器具で使われています。
- カテーテル(体内に挿入して内部から治療を行うための器具)
カテーテルにフッ素樹脂を使用することで滑らかに挿入しやすくなる。また、化学的に不活性であることも重要- 注射器(シリンジとも呼ばれる)
表面の滑らかさ、また不活性であることで医薬品との相性が良く、その性質を活かして注射器にも使用される- マウスピース(口腔内で使用して歯の保護などを目的とする器具)
肌触りの良さや、頻繁に行う洗浄にも耐えられる化学的安定性の良さなどから、マウスピースとしても使用される
今後フッ素樹脂に期待される用途
将来的にはさらにフッ素樹脂の用途が広がると見られています。 例えばフッ素樹脂の絶縁性に着目して、エレクトロニクス分野、とりわけ再生可能エネルギー分野への応用が期待されています。
エネルギー保存材料として、つまり電池の性能向上に寄与するのではないかと注目されています。ただしそのためには関連技術の進展、フッ素樹脂の量産技術などもより進める必要があります。また、微小なひび割れやキズを自己修復して元通りにする材料が注目を集めています。フッ素樹脂、フッ素成分も応用することで自己修復機能を備えた塗料ができると、開発が進められています。
まとめ
簡単にフッ素樹脂の用途についてまとめました。耐久性のみならず、非接着性や耐摩耗性、化学的安定性を備えており、また、人が触ったときでも不快感のない、滑らかさが使い勝手の良さにも繋がっています。今後さらにその用途は広がっていくことでしょう
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