建設やインフラ業界にフッ素樹脂が使われる事例やその理由・特性について
インフラは私たちの生活を支える非常に重要な役割を担います。しかし建造物は常に様々な外部要因にさらされ続けており、大気汚染や排気ガス、粉塵などにより建物表面は汚れ・劣化を進めています。
見た目が悪くなるだけでなく、汚れの付着は材料の劣化を引き起こす要因にもなるため、定期的なメンテナンスやクリーニングが必要とされ、結果的に維持コストが増大するという問題につながってきます。このような背景もあり、汚れや劣化に強い材料、自浄作用を持つ材料が求められています。この観点から「建設やインフラ業界におけるフッ素樹脂の利用」についてここで言及していきます。
フッ素樹脂は建設・インフラ業界でも使われる
フッ素樹脂は、他の材料にはない特異な性質を備えています。その1つに「表面張力の低さ」が挙げられます。この特性を活かしたフィルムには汚れなどが付着しにくく、自浄作用があります。汚れが蓄積されても雨により洗い流されますし、メンテナンスにかかるコストが下げられます。そのような利点を持つことから、フッ素樹脂は建設工事で使用されていますし、インフラ整備においても活用されています。
フッ素樹脂の特性と利点
フッ素樹脂は、化学的な安定性、高い耐熱性や耐薬品性を持つことで知られています。また、表面張力が低いことで水や汚れが表面に付着しにくいという特徴も持ちます。この特徴は「自浄作用」に繋がります。外部から力を加えないと洗浄ができないのではなく、そのもの自身の性質によりある程度洗浄することができるということです。汚れなどが付着しても簡単に滑り落ちるようにできていれば、自然に起こる雨風の影響を受けて洗浄される効果が得られます。こうした性質は、建築物やインフラ設備の外壁材、コーティング材として利用される際に有益です。
建築物の外壁や橋、トンネルなどのインフラ設備でも外部環境の影響を直接受けます。そこで耐候性や耐久性が求められます。フッ素樹脂のコーティングは、これらの設備を雨や汚れから保護する役割を果たすのです。特に大都市の建築物などでは、大気中の汚染物質や排気ガスによる汚れが問題となることがありますが、フッ素樹脂の自浄作用を活かすことができればこれらの汚れを軽減することができます。自浄作用は、建築物やインフラの維持・メンテナンスの頻度やコストを削減するという恩恵をもたらします。材料費が問題になってきますが、長い目で評価するとコスパが良いといえるでしょう。
フッ素樹脂の活用事例
建設・インフラ業界における具体的な活用事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 防水シート
屋根や外壁の防水機能を高める。フッ素樹脂は耐水性や耐候性に優れているため長期間でも使用が可能。- 塗料
屋根や外壁の塗装にも使用される。フッ素樹脂を塗料として使い表面を保護するだけで防水性や耐候性を高められる。大きな建造物などメンテナンスが容易ではないものに対して活用すると有益。- シール材
橋梁や道路の継ぎ目などにも使用される。フッ素樹脂シール材は耐熱性や耐薬品性に優れているため、一定の条件下なら熱の加わるような場所でも使用ができる。
このように、フッ素樹脂は建設工事やインフラ整備において、様々な用途で活用されています。優れた特性により建造物の耐久性やメンテナンス性の向上に貢献しているのです。
建設やインフラ業界における塗料・保護膜の重要性
建設・インフラ業界において塗料や保護膜は非常に重要な役割を担っています。例えば「高層ビルの外壁」は定期的な清掃をするだけでも大変な作業です。高層ビルが建築される都市部だと大気中の塵や排気ガスの影響も受けやすいため、ビルの表面にも蓄積されやすいです。しかし、ここに自浄作用が高い塗料や保護膜を使用すれば、ある程度雨などによって自然と汚れを洗い流すことができ、清潔な外観を維持できるのです。
「工場や工業地域にある建造物」についても同様に汚れが付着しやすいです。ただしこのような立地にある建造物は付着する物質が都市部とは異なります。工場から排出される煙、化学物質の影響を受けるため、自浄作用を持つ保護膜が必要で、さらに化学的にも安定した性質を備えていることが重要になっています。また「海沿いの建築物」の場合は、海から飛散してくる塩、そして海風の影響を受けやすいです。そのため塩害が起こりやすく、外壁の腐食が進行しやすくなったり窓ガラスが白くにごってしまったりします。このような場所で自浄作用を持つ塗料は大いに役立つでしょう。
まとめ
どの町にも建造物は存在します。そして物質表面は汚れなどが蓄積していくことで劣化を早め、耐久性の低下、見た目の悪さなどを引き起こしてしまいます。そのため表面を保護するための塗料、あるいは表面が強い材料を使うことが重要であり、この点でフッ素樹脂は建設・インフラ業界で役立っているといえます。フッ素樹脂は様々な環境下でも持続的に高い性能を発揮し、建造物の長寿命化、メンテナンスコストの削減に寄与しています。