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大きな投資予定がある国内メーカー(半導体装置・素材分野)

世界的に脱炭素の流れが進むなど、クリーンエネルギー中心の産業構造に変えていこうとする取り組みが盛んになっています。そうした潮流を受けて政府も様々な施策を講じて国内企業への支援を試みています。他の国に比べて投資額が小さいことなどが指摘されたりもしていますが、日本も投資競争へ対応して、実際に国内で多くの企業への大規模な投資が動き出しています。ここでは特に半導体関連の「装置」や「部材・素材」に関する各メーカーの投資内容を紹介します。

  

半導体関連で支援対象となる事業

半導体関連で政府が実施している支援内容をピックアップします。

支援内容 概要 予算
サプライチェーン対策のための補助金 半導体を含む重要物資の生産拠点の国内立地、国内調達の拡大等の投資。 5,168億円
ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業 次世代半導体、ネットワーク、セキュリティ等の研究開発を支援するもの。 4,850億円
国内生産拠点の確保 先端半導体の国内製造拠点の整備を支援するもの。 4,500億円
生産設備の脱炭素化・刷新事業 サプライチェーン上不可欠性の高い半導体の生産設備の脱炭素化・刷新を支援するもの。 470億円
サプライチェーン強靱化支援事業 重要物資のサプライチェーンの強靱化に向けた取組を支援するもの。 3,686億円

大規模投資を行う国内企業

大規模投資を行う予定の、次の国内企業について簡単に紹介していきます。

  • 住友電工
  • 新光電気工業
  • キヤノン
  • レゾナック
  • SUMCO

住友電工(住友電気工業)

住友電工(住友電気工業)」は住友グループの会社で、大阪に本社を置くメーカーです。電子部品や情報通信機器、自動車関連の製品など、幅広い事業を行っており、世界でもトップのシェアを持つ製品も多数持っています。 同社はSiC(炭化ケイ素)半導体事業に進出することを決め、兵庫県および富山県にSiC半導体に係るウエハの向上、生産ラインを新設。投資額は300億円にも上ります。そのうち最大で100億円は国からの助成を予定しています。2027年ごろから運転が始められる見込みで、今後も市場が拡大するとみられる電気自動車向けのパワー半導体を供給する拠点がこの投資により出来上がります。

  

新光電気工業

新光電気工業」は富士通の連結子会社で、長野県に本社を置くメーカーです。半導体のリードフレーム、パッケージングなどに係る設計から製造・販売までを行っています。 同社の「先端半導体向け次世代フリップチップタイプパッケージ」設備投資計画が政府の供給確保計画に認定され、533億円もの投資、最大178億円の助成を受ける見込みです。フリップチップタイプパッケージとは高性能な半導体向けに開発されるもので、パッケージの性能向上に寄与し、特にサーバーに使用される半導体の高機能化・高速化・省電力化の実現に貢献するといわれています。

  

キヤノン

キヤノン」は一般消費者向けにも製品を多く提供しており、世間的な知名度も高いメーカーです。カメラやプリンタなどのほか半導体関連の精密機器も多く取り扱っており、さらに2026年からの生産能力を強化するため新工場の立ち上げ等に333億円もの投資を行う予定です。政府からも最大111億円の助成を受ける見込みです。キヤノンの主な取り組みは「半導体露光装置」等を製造する新工場の建設です。半導体業界、半導体製造装置業界は全体として右肩上がりですが、その中でも露光装置は大きな需要の拡大が予想されている分野です。

  

レゾナック

レゾナック」は日本の化学メーカーです。かつて「日立化成株式会社」という名称で活動をしており、日立製作所から独立したという背景も持っています。主な取り扱い製品には光学関連の材料や、配線用基板の材料、リチウムイオン電池用の材料、カーボンセラミックス、そして半導体用材料も主要製品の1つにあたります。レゾナックの半導体材料は世界でもトップクラスに高い評価を受けており、同社による309億円もの投資にも最大103億円の補助が行われる予定です。同社はSiCエピウエハの強化を図る新工場の建設を進めています。

 

SUMCO

SUMCO(Silicon United Manufacturing COrporation:サムコ)」は、東京に本社を置き、半導体ウエハの製造から販売を行っているメーカーです。中国や勧告、アメリカ、イギリス、台湾、インドネシアなど世界各地にも拠点を持ち、化学メーカー大手の信越化学工業と合わせればシリコンウエハのシェアが世界でも半数ほどを占めるといわれています。同社はさらに生産能力拡大をするため佐賀県に新生産拠点を建設し、2か所に工場を立ち上げることになります。建設費用および設備投資の合計額が2,250億円にも上り、助成額も750億円になります。これらの工場は2029年に稼働予定で、最先端半導体向けのウエハ供給が開始されます。

   

まとめ

ここでは半導体の装置や素材等を取り扱うメーカーのうち大規模な投資を予定している企業を紹介しました。一部をピックアップしましたが、その他「ミツミ電機」や「凸版印刷」、「AGCエレクトロニクス」、「イビデン」などのメーカーにも要注目です。

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