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ETFEとは?その性質と歴史について簡単にご紹介

歴史と名前の由来

フッ素樹脂とテフロンの歴史については別の記事に纏めましたので、そちらをご覧ください。フッ素樹脂はその強烈な樹脂特性から一躍時代の寵児となりましたが、その安定性が故の加工性の悪さは常に問題となっていました。一方で最も汎用的な炭化水素樹脂であるポリエチレンについては結晶性や立体規則性が研究しつくされ、価格がものをいう世界でした。そこで、その両者を掛け合わせることで両方の性質を持つ新しい樹脂を目指してできたのが、ETFE(Ethylene tetrafluoroethylene)でした。

 

特徴

PTFEは炭素Cとフッ素Fによる樹脂で、その化学的安定性から、各所で重宝されていることは以前の記事で述べました。

→PTFEについて

一方で、一般的な「ビニール」の代表たるPE(poly ethene)は最も単純な分子構造の樹脂です。安価で大量生産されていますが、その強度や耐熱性は極めて弱いです。一般的なPE銘柄ではお湯程度の温度でも柔らかくなるものも多く、熱に極めて弱いです。結晶性によっても耐熱温度は変わりますが、よくイメージするような透明な低結晶PEの耐熱温度は100℃にも届きません。

その理由はCに対してHが極めて小さく、互いに影響も及ぼさないため、側鎖がC-C-C-の主鎖に殆ど影響を及ぼさないためです。(厳密には僅かにコンホメーションに影響を及ぼす)。その結果、熱を加えるとC-C間はまるで「みみず」のように柔軟に動き、樹脂自体が軟化してしまいます。しかし言葉を換えれば、それは熱応答性が良好な樹脂とも言え、比較的低い温度でも容易に成形できるため、極めて使い勝手の良い樹脂とも言えます。それでこのPEとPTFEの双方の性能を持つ樹脂を生み出すべく開発されたのがPVDFとETFEです。

→PVDFについてはこちらの記事をご参照ください。

いずれもPE(C2H4)PTFE(C2F4)を組み合わせた(共重合)したものですが、雑に共重合したPVDFと違い、ETFEは丁寧に交互重合しています。PE連鎖が劣化の要因ですが、反応条件などを工夫して丁寧に交互重合することでPE連鎖部を減らしています。(反応条件の工夫についてはラジカル開始材や放射線照射、反応速度とモノマー濃度のコントロール等の詳細な論文が多々報告されているので、専門書をご参照ください)

上述のように、ETFEPE部の可動性によって溶融粘度が下がり、180℃弱で軟化するため、フィルム成形などの押出成形を可能とします。その一方で、ラジカルによるPE部間の分解はFによってブロックされるため、紫外線等の分解に極めて強い性質を併せ持ちます。

そのため、高温環境下では使用しないが耐候性が欲しいような用途、例えば構造ドーム等で使用される例が増えてきております。国内ではAGC社が主に扱っております。

まとめ

ETFEはPTFEPEの性質を併せ持ちPTFEに比べて良好な成形性を持ち、射出やフィルム成形等も可能である。ETFEは非高温環境下で、耐候性が必要な用途に使用されます。

別ページ:⇨PTFEとテフロンの違いは?歴史や国内での取り扱いについて

別ページ:こんな商品を取り扱っています

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