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NAND型フラッシュメモリって何?今後の市場予測も解説

半導体市場は今後も伸びていくと見られていますが、特に伸びが期待されている分野の1つが「NAND」です。真新しい分野ではありませんが、ここでNANDとは何かを整理しておきましょう。今後の成長についても触れていきます。

 

NAND型フラッシュメモリとは

「NAND」(読み:ナンド)と省略して表記されることもありますが、これはNAND型フラッシュメモリ、あるいはNAND型フラッシュメモリに使われる電子回路のことを指します。

スマホやタブレット、PCなど、幅広い機器に搭載されています。以下でNANDの意味やNAND型フラッシュメモリの特徴などを見ていきます。

 

NANDNot AND)とは

まずは「NAND」そのものの意味を簡単におさらいしていきます。NANDとは、「Not AND」の略です。

デジタル信号の取扱いで重要になる、論理演算の一手法です。デジタル回路においては01の判定が制御の基礎になるのですが、入力の内容やその組み合わせに対応する出力のパターンにはいくつかあります。例えば「AND」では11の入力に対して1の出力をします。

しかしNANDNot ANDですので、出力が反転され、この場合0になります。それ以外のケースでは1が出力されます。「否定論理積」と呼ばれ、これを採用したフラッシュメモリがNAND型フラッシュメモリと呼ばれているのです。

 

フラッシュメモリとは

「フラッシュメモリ」という名称は、フラッシュをたくようにデータの消去等ができるメモリということに由来します。

フラッシュメモリが開発される以前、データの消去は瞬時にできず、数十分要していたという背景があるためこうしたネーミングがされているのです。

 

NAND型フラッシュメモリの特徴

NAND型フラッシュメモリには不揮発性という重要な性質があります。電源を切っても記憶が保持される性質を表します。他にも、以下のような特徴が挙げられます。

  • 小型で軽量
  • 動作音がない
  • 衝撃に強い
  • 消費電力が小さい
  • 単価が安い
  • 書き込みが速い 

    同じフラッシュメモリの仲間に「NOR型フラッシュメモリ」というものもあるのですが、そちらと比較すると回路規模が小さく、安く大容量化できるという利点を持っています。データの書き込み、消去が高速で集積性にも優れています。

     

    NANDの寿命

    不揮発性で、情報が保持されると説明しましたが、寿命があることは知っておかなければなりません。「書き換え回数に上限がある」こと、「記録の保持期間が有限である」ことに由来します。

    書き換え回数に上限があるのは、書き換え時に行われる電子の注入・引き抜きによって格子欠格が増えてしまうことが原因です。絶縁層が劣化して電子が通過しやすくなり、正常に情報が記録できない箇所が出てくるのです。この箇所は不良ブロックとなり、その後回復することはありません。

    製品ごとの具体的な上限回数については通常公開されませんが、一般的には数万回から10万回程度と言われています。

     

    なお記録の保持期間は長くても数十年ほどとされていますので、一時利用ではなく、フラッシュメモリを長期保存用に利用するのは避けるべきでしょう。保存用として残していると急激な劣化を生み、寿命がさらに短くなることもあります。

     

    NANDの市場予測

    2025年までの市場予測では、半導体デバイスのうち、NANDは市場拡大が続くとされています。特にサーバーやPCで使用される、SSD向けの需要が増加するとされています。

    また、クラウドサービスが普及することで取り扱うデータ量が増えますし、センサーデバイスが増加していることなどもあって、メモリの容量拡大が続くとみられています。AIでも学習データの蓄積が重要であり、こちらも大容量ストレージが欠かせません。

    さらにスマホにおいてもメモリ容量が増えていることなどから、堅調な需要が予想されています。

     

    つまり、メモリ市場の伸びは、関連するデバイスの市場拡大から直接的な影響を受けるのです。NOR型のフラッシュメモリもありますが、NAND型の方が組み込みシステムに用いる大容量メモリとしては適しており、NOR型からNAND型への置き換えが始まっているとされています。

    また、世界規模で半導体市場を予測したものについても、メモリ市場は大きく伸びていくと評価されています。一時的に伸びが停滞していたもののプラス成長に転じていますし、5Gへの対応が活発になることでさらに今後への期待が持てるでしょう。

     

    供給過剰に陥る可能性

    AIIoT5Gなどの影響もありデータ活用はより進み、NANDの需要もさらに高まっていくでしょう。

    ただ、急激な伸びが起こると、その後需給バランスが崩れるタイミングがやってくるのではないかとも危惧されています。市場の伸びを正確に捉えていかなければ、供給過剰に陥ってしまいます。実際、過去にそのような事例も起こっています。そのため、広い視野を持って、NANDのみならず半導体市場全体を見渡していかなくてはなりません。

     

    まとめ

    NANDが開発されてから30年以上経っています。最近では新たなテクノロジーが伸び、世間の注目を集めていますが、それ以前のテクノロジーが衰退するわけではありません。相乗効果によって伸びる分野もあるのです。NANDは今後もしばらくは成長し、新しいデバイス等を支えていくことでしょう。

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