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日本の半導体業界の現状と発展のために必要なこと

半導体の市場は世界的にも大きくなってきていますが、今、日本がどのような状態にあるかご存知でしょうか。ここでは近年の半導体産業のこと、世界的に見た日本の現状などを説明していきます。

 

近年の産業における半導体の重要性

半導体が私たちの生活に重要なものであるということは、昔から変わりありません。むしろその重要度はさらに増しており、これをなくしては近年発達し話題になってきている様々なテクノロジーは実現できません。

改めて様々な産業を見ていくと、半導体がいかに重要なものであるかが理解できます。例えばタブレットやスマホなどの通信デバイスを扱う産業はもちろん、製造業、農業、教育、その他あらゆる産業でデジタルは用いられています。直接ITを商品やサービス内容にしていなくても、事業を遂行する上で通信技術などが使われており、その意味でデジタル産業があらゆる産業を支えていると言えます。

 

また、クラウドやサイバーセキュリティ、その他色んなデジタル産業はデジタルインフラによって支えられています。データセンターの存在や通信機器、5Gなどがインフラとして機能しています。

そしてそのインフラを支えるのが集積回路で、集積回路には半導体が用いられています。つまり、半導体がなくなってしまうと、デジタルインフラが構築できなくなり、デジタル産業も機能しなくなり、その結果あらゆる産業に影響が及ぶのです。

 

半導体に関するグローバルな構造・現状

一昔前は半導体業界を日本と欧米が牽引していました。

しかし半導体業界の構造は21世紀以降、大きく変化しています。半導体市場は世界全体で見ても拡大しているのですが、日本企業の状況は芳しくありません。ここ30年でその存在感が薄くなりつつあり、現代においてはアメリカと中国を中心に韓国や台湾などが力を付けてきています。特にアメリカと中国の技術覇権の対立がその他の国へも大きく影響を及ぼしています。

 

また、新型コロナウイルスの流行に伴い社会のあらゆる部分のデジタル化が進み、半導体は基幹製品としてさらにその重要度を増してきています。良くも悪くも半導体に関する問題が他産業へと影響を及ぼすようになってきており、実際、2021年における半導体不足の問題などは自動車産業で顕在化しています。

 

さらには、近年の傾向として「省エネ」「グリーン化」が注目されてきています。単に生産力を高めるだけでなく、その過程や環境への影響なども慎重に検討されるようになってきているのです。

 

日本の国際的シェアの低下とその原因

1988年、日本の半導体産業は国際的に大きなシェアを持っており、約50%を占めていました。その当時、アメリカは30%台、アジア諸国はわずか数%に過ぎませんでした。

しかしその後は他国が伸びるとともに日本のシェアも落ち、2019年では10%しか占めていません。アメリカは50%以上となり、アジア諸国も急成長して約25%にまで伸びています。このままいくと将来的に日本のシェアは0%近くになってしまうのではないかとも危惧されています。

 

なぜこのようにシェアを落としてしまったのでしょうか。主な原因として以下が考えられています。

  • アメリカとの協定による貿易の規制
  • 設計や製造の過程が変化し、垂直統合型からファブレス企業・ファウンドリ企業の水平分離型が主流になる中、国内企業は製造部門の切り出しなどが難航した
  • デジタル産業化が遅れて海外輸入に依存した
  • 世界と繋がるオープンイノベーションのエコシステム等を築くことができず、自前主義を採った
  • バブル崩壊による国内企業への投資縮小

 

これから半導体産業を伸ばすために求められていること

半導体産業を伸ばすことは、これからのデジタル社会を支えるために重要な基盤となりますし、経済安全保障の観点からも国家事業として工場の新設や改修を進めることが大切です。

先端半導体を、国内で開発および製造ができることが重要ですが、そのためには「海外の先端ファウンドリの誘致を通し国内企業と共同開発を行うこと」「大きな支援措置を取り、半導体工場の刷新等を行い、供給力を高めること」が必要と考えられています。 

需要面としてはデジタルニューディールの推進として5Gインフラ等への投資促進を支援、DXの推進などを行うことが必要とされています。

 

また、「既存ポートフォリオの刷新・強靱化」として、マイコン・メモリ・パワー・センサー・アナログに関してそれぞれ以下のような方向性が示されています。

  • マイコン:車載用中心に工場を新増設
  • メモリ:国際連携によって設備投資を拡大
  • パワー:グリーン革新素材の実装を加速
  • センサー:用途を拡大、三次元実装において世界トップを維持
  • アナログ:多品種少量業界のM&Aや事業の拡大を促進

まとめ

長い間日本の半導体はシェアを落とし続けてきましたが、他方で半導体産業の重要度はデジタル化社会が進むにつれ、増してきています。

そこで国全体の経済力を維持・増進していくためには半導体分野の強化が欠かせません。本格的に戦略が策定されたということもあり、今後国内でも大きな変化がやってくるかもしれません。

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