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フッ素樹脂の耐熱性について|種類別の融点の比較、そもそも耐熱性とは何か

フッ素樹脂についての説明がなされる際、「耐熱性」が取り上げられることがあります。フッ素樹脂は耐熱性に優れ、その性質を活かして様々な用途で活用されているからです。当記事では耐熱性そのものをまず説明し、フッ素樹脂における耐熱性の特徴、メカニズムを解説していきます。

 

耐熱性とは

「耐熱性」とは、ある物質の熱に対する耐久性を意味します。つまり、高温にさらされたとしても、その構造や機能性を維持する能力であるとも表現できます。耐熱性は、以下のような性質により定まるとされています。

 

  • 融点:物質が固体から液体に変化する温度のこと。融点が高いほど物質の耐熱性は高い

  • 熱膨張:物質は温度が上がることで膨張するが、その膨張の度合いは物質により様々。熱膨張の度合いが小さいほど、つまり温度変化に対して同じ形状を維持できるほど、耐熱性は高いといえる

  • 化学安定性:物質は温度が上がることで化学反応を起こしやすくなる。高温環境下でも化学的に安定していたほうが、耐熱性が高いといえる

 

フッ素樹脂における耐熱性の特徴

フッ素樹脂は次のような点で耐熱性に優れているといえます。フッ素原子を含む高分子化合物で、一般に優れた耐熱性を持っています。フッ素樹脂にはいくつかの種類がありますが、代表的なものに(PTFE、テフロンとしても知られる)やエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)などがあります。フッ素樹脂の耐熱性の特徴は以下の通りです。

 

  • 融点が高い:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロンのこと)は、融点が300℃を超え、一般的なプラスチックより耐熱性が高い。他のフッ素樹脂についても同様の傾向を示す

  • 化学的に安定している:フッ素樹脂は化学的に不活性。高温環境下でも化学反応を起こしにくく、同じ状態・性能を維持しやすい

フッ素樹脂が他の物質より耐熱性が優れている理由は、フッ素原子の性質にあります。フッ素原子は電子を引き寄せる力が強く、この力が働くことにより炭素原子と強固に結びつくことが可能になります。分子間の結合エネルギーが高いことから、物質を構成する原子・分子に大きな熱を加えられても、容易には分解・変質が起こりません。

 

フッ素樹脂の種類・他の物質との融点の比較

フッ素樹脂にもいろんな種類があります。耐熱性を表す指標としてイメージが持ちやすい融点に焦点を当てて、各フッ素樹脂の耐熱性を比較します。

 

  • PTFE(ポリテトラフルオロエチレン):融点約327℃
  • ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン):融点約270℃
  • PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン):融点約210℃

 

融点を比較してみると、フッ素樹脂の耐熱性はPTFEが最も高いと評価できます。また、フッ素樹脂と比較対象になりやすい物質、シリコン樹脂については一般的に融点200~250℃であるといわれています。

そのため多くの場合、フッ素樹脂のほうが耐熱性は高いと評価できます。ただし、シリコン樹脂も種類によっては300℃を超える耐熱性を持ちます。一方、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックについては150℃前後の融点です。そのためフッ素樹脂に比べると耐熱性はかなり低いといえます。

 

耐熱性を活かしたフッ素樹脂の用途

フッ素樹脂はいろんな製品に活用されています。そのうち、耐熱性を活かした用途を以下にまとめます。

 

調理器具

フライパンやホットプレートなどの表面にコーティングとして活用する。焼き付きやこびりつきを防ぐことができ、手入れ・洗浄がしやすくなるなどの利点が得られる。

ワイヤーやケーブル

自動車や航空機、化学プラントなど、高温環境下で使われる電線、ケーブルなの絶縁材料としても使われる。

ガスケット

耐熱性、耐薬品性があることから、ガスケットとしても利用される。自動車エンジン、化学プラント、食品加工設備などで使われ、流体が漏れないようにする役割を果たす。

ポンプやバルブ

ポンプやバルブの部品にも使用される。化学薬品を扱う工場、高温の液体を扱う工場などでフッ素樹脂が役立つ。

 

これらのほか様々な用途で用いられ、安全性、性能の維持、製品寿命の延長を支えています。

 

まとめ

フッ素樹脂はシリコン樹脂やプラスチックより優れた耐熱性を持ちます。ただ、材料を選択する際は、耐熱性だけに着目するわけにもいきません。機械的な強度が求められることもありますし、コストについても無視はできません。そのためどんな場面でもフッ素樹脂が優れているとまではいえません。


例えば、調理器具や医療の現場ではフッ素樹脂の耐熱性・化学安定性がポイントとなり採用されることがありますが、家庭用品や玩具に対してまで一般的に使われているとまではいえません。シリコン樹脂やプラスチックを使っても性能十分ですし、コスト面ではプラスチックなどのほうが優れているからです。ただ、一般家庭以外、工場などでは高温にさらされる場面もありますし、安全性を確保するためフッ素樹脂の耐熱性が必要になることもあります。適材適所、耐熱性だけに着目することなく、総合的に採用する物質は検討する姿勢が大事ということです。

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