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ニューフレアテクノロジーについて|描画装置市場を牽引するメーカーを紹介

半導体製造装置市場は、日本が強みとしている分野です。同分野はさらに細分化することができ、1つには描画装置の分野があります。この描画装置において世界でも上位のシェアを有しているのが「ニューフレアテクノロジー」です。当記事ではニューフレアテクノロジーに焦点を当てて、どんな企業なのかを紹介していきます。

 

ニューフレアテクノロジーの概要

ニューフレアテクノロジー(NuFlare Technology, Inc.)」は、2002年、東芝機械株式会社の半導体装置事業を継承する形で創業された半導体製造装置メーカーです。(※「NFT」と略して表記されることもある。)半導体製造に関わる事業に特化してこれまで活動し、様々な製品を開発、世界に向けて供給してきました。2020年には「東芝デバイス&ストレージ株式会社」の100%子会社化。800人近くの従業員を抱え、神奈川の本社のほか、海外にも多数の拠点を設けて活動をしています。

 

《NFTの海外拠点》

  • 米国(カリフォルニア、ニューヨーク、アイダホ、オレゴンなど)
  • 韓国
  • 台湾
  • ドイツ
  • 中国
描画装置における高い市場シェアが強み

半導体製造では、多段階的に様々なプロセスを踏む必要があります。ウエハの製造、そのウエハに感光材を塗布してパターンを転写。エッチングや熱処理、パッケージング、検査など、ざっくりと説明するだけでも多数の作業工程があります。また、回路パターンを転写するためには、フォトマスク(回路原版のこと。)を製造する必要があり、そのための設計やマスク描画、検査なども必要となります。

それぞれのプロセスで様々な製造装置が使われているのですが、ニューフレアテクノロジーそのうちマスク描画で必要な装置に強みを持っています。描画装置にもいろんなタイプがあるところ、同社は特に電子ビーム描画装置を取り扱っています。電子ビーム描画装置は、電子銃から発出された電子線をレンズで収束させ、試料に照射する装置です。電子線の照射により試料表面に凹凸を生じますので、その仕組みを応用して回路パターンを形成しています。

描画装置市場に絞ると、同社は世界でもトップクラスのシェアを有しており、同分野において日本を代表する1社としての位置を確立しています。なお、描画装置市場における競合には次のような企業がいます。

  • IMS(オーストラリア)
  • Vistec(ドイツ)
  • 日本電子(日本)

ニューフレアテクノロジーの主要な装置

ニューフレアテクノロジーでは①電子ビームマスク描画装置②マスク検査装置③エピタキシャル成長装置、という3つの装置を軸として開発・製造・提供をしています。それぞれの装置の役割、同社の提供するこれら装置の特徴などを以下にまとめます。

 

電子ビームマスク描画装置

ニューフレアテクノロジーの核となる装置が「電子ビームマスク描画装置」です。電子線を使ってフォトマスク上に回路パターンを作っていく装置ですが、微細な領域に複雑なパターンを形成していく必要があり、ナノメートルのスケールで電子線スポットを正確に位置決めしないといけません。

さらに、高精度の電子制御技術があるだけでは不十分であり、高スループットの維持も欠かせません。そのため非常に高度な正確性に加え、高速処理もできる必要があるのです。同社でもその速さや正確性について、「サッカー場に、2秒以内で、0.2mm以内の誤差で1円玉を敷き詰めるほど」と表現されています。

また半導体の集積密度は年々高くなっており、それに伴い電子ビームマスク描画装置に求められる情報処理量も膨れ上がっています。LSIにおける描画データの量はテラバイトレベルであり、大容量のデータに対しても高速で演算する技術が必要とされています。1兆個の露光に対してエラーが1つもない」程度の信頼性が求められており、今後もさらにデータ量は増えると見られています。同社はこうした業界のニーズに応える技術を実用化しているのです。

マスク検査装置

高い信頼性を持つ電子ビームマスク描画装置により描画されたフォトマスクであっても、一切のエラーがないとはいえません。そこで製造されたフォトマスクを検査するための装置も必要です。ニューフレアテクノロジーではマスク描画に必要な装置に加え、「マスク検査装置」も開発しています。もちろん検査自体も高速処理でなければなりません。高速での検査、高い精度での検査により、LSIの歩留まり向上へ貢献しています。

同社から提供されている具体的な製品は「NPI-8000」と「NPI-8000M」です。いずれも199nmレーザーが搭載されており、60分以内の検査を実現します。また同社では、EUVリソグラフィ、ナノインプリント技術に対応した5nm以降のデバイス向けマスク検査装置の開発も進められているようです。

エピタキシャル成長装置

上記2つの装置はウエハに回路パターンを転写するために使う、フォトマスクの製造に必要な装置です。一方で、ウエハの製造に必要な装置も同社は提供しています。それが「エピタキシャル成長装置」です。エピタキシャル成長とはウエハ上に薄膜を形成することをいい、構造の自由度を上げて導電性、抵抗などの制御をしやすくするために重要な工程です。ガス制御の技術をコアとし、SiウエハやSiCウエハの上に、SiやSiC、GaN等の単結晶を成長させます

 

まとめ

ニューフレアテクノロジーは半導体製造装置、その中でも描画装置に特化したメーカーです。描画装置は半導体製造における上流に位置する存在であり、同社が電子ビームマスク描画装置を世界中の半導体メーカー、マスクメーカーに提供しているということは、世界の半導体市場を支える重要な役割を持っているとも表現することができるでしょう。

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