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フッ素の産出・フッ素樹脂の製造に欠かせない「蛍石」について

耐熱性や耐薬品性、絶縁性などに優れるフッ素樹脂は、その性能の高さから多様な用途で応用されています。“フッ素”樹脂と呼ばれているようにフッ素樹脂を構成する重要物質は「フッ素」です。そしてこのフッ素は自然界では単体で存在しておらず、主に蛍石を原料に算出されています。こではこの「蛍石」とは何なのかを解説します。

 

蛍石の概要

蛍石はほたるいしけいせき、あるいはフローライト」「フルオライトなどと呼ばれる鉱物のことです。世界各地で産出されており、中国やメキシコ、モンゴル、ベトナムなどで特に多く生産されています。また、ハロゲン化鉱物の1種であり、「CaF2」という化学式で表記されるフッ化カルシウムが主な構成成分です。基本的な性質は次のように整理することができます。

  • 色 :無色
  • 融点:1400℃超
  • 屈折率:1.434
  • 密度:3.18g/cc
  • 熱伝導率(50℃):0.0241
  • 誘電率:8.4

蛍石は、融点と沸点が高いため、耐熱性が高い材料といえます。また密度も高いため、比重が大きいのも特徴です。屈折率については低く、赤外線から紫外線まで幅広い波長域での透過率が高く、光学材料としてその性質が活用されることもあります。さらに誘電率と誘電正接が小さいことから、電気信号の伝送ロスが小さく、電子材料として応用されることもある物質なのです。

 

光学材料としての利用

蛍石は無色透明で、紫外線~可視光線~赤外線まで幅広い波長帯域の光を透過する性質を持っています。このため光学材料としても広く利用されています。蛍石の光学材料としての利用は、主に以下の3つに分けられます。

 

色収差の補正

色収差とは、光の色によって屈折率が異なるために光軸から光がずれること。蛍石は色収差がとても小さいことから色収差を補正するレンズとしても活用される。特に望遠レンズにおいては焦点距離が長くなるほど色収差が大きくなるため、蛍石をレンズに採用することで色収差を抑え、高画質な画像を実現している。

赤外線の透過

蛍石は赤外線を透過する性質も持っている。そのため赤外線カメラや赤外線レーザーなどの赤外線光学機器の材料として利用される。また赤外線は可視光線よりも波長が長いため散乱や反射の影響を受けにくい。蛍石を活用すればその性質も光学機器に活かしやすくなる。

偏光の制御

蛍石は偏光を制御する性質も持っており、偏光フィルターや偏光板などの偏光光学機器の材料としても利用されている。偏光とは光の振動方向の偏りのことであるが、蛍石による制御が様々な光学技術の分野で活かせる。

 

具体的な用途として、例えば望遠鏡、写真レンズ、顕微鏡などに使われることもあります。

 

化学材料としての利用

蛍石は次のように化学材料としての利用も広く行われています。

 

フッ素の原料

蛍石はフッ素の主要な原料。蛍石を硫酸と反応させてフッ化水素酸を製造することができ、フッ化水素酸はフッ素化合物の原料として、さまざまな産業分野で利用される。半導体製造や化学繊維製造、農薬製造などのさまざまな産業で必要とされている。

融剤

蛍石は融剤としても利用されている。蛍石を鉄鉱石や酸化アルミニウムなどの原料に混ぜることで溶融温度を下げ、融解を促進する効果が得られている。こうして様々な金属の生産効率を向上することに貢献している。

セラミック材料

耐熱性、耐酸性、耐食性に優れた特性を活かして、蛍石はセラミック材料としても利用されている。セラミックを製造するために用いられ、様々な性能を向上するために役立っている。また、ガラスの製造においても使われる。

 

このように、蛍石はフッ素の資源であるとともに優れた化学特性が着目されて多様な産業分野で利用されているのです。

 

蛍石は紫外線や熱によって光る

蛍石は、紫外線を受けたり加熱されたりすると発行します。この光る性質を持つことから“蛍”石とも呼ばれているのです。そして蛍石が光る理由は蛍光現象によるものです。※蛍光現象:ある波長の光を吸収し、別の波長の光として放出する現象のこと。

蛍石はフッ化カルシウム(CaF2)の結晶で、その結晶構造上、紫外線が照射されるとフッ化イオンが紫外線のエネルギーを吸収し、励起状態となります。励起状態にあるフッ化イオンはすぐに基底状態に戻るためエネルギーを放出するのですが、その際の余剰エネルギーが光として放出されるのです。そしてこの放出された光の波長は吸収した紫外線の波長よりも長くなり、結果的に人の目には蛍石が自発的に青い光を放っているように見えるのです。※紫外線の250nm程度の波長であり、人の目には見えない。しかし基底状態に戻るときに放出する光は400nm程度の波長であり、これは人の目に青色に映る。なお、蛍石の結晶構造や蛍石に含まれる不純物によって発行する光は影響を受けます。例えば蛍石にマンガンが含まれている場合、緑色の光を発することがあります。これは励起状態から基底状態に戻るとき、500nmほどの波長が放出されるためです。

 

まとめ

蛍石は紫外線を当てると発光するなど特異な性質を持つ鉱石です。化学材料、光学材料として利用されることもあり、フッ素化合物の原料にもなっています。そのため、優れた性能で注目されることも多いフッ素樹脂を製造する上でも欠かせない存在といえます。

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