NEWS

フッ素の輸送に関して適用される法令とその内容

フッ素の取扱いには一定の規制がかけられていますので、適用法令を調べ、そこで規定されているルールに従わなければいけません。例えば輸送をするにあたっては「道路法」や「港則法」、「航空法」などの法令に留意する必要があります。当記事では輸送に関して、これら法令上適用されるルールについて紹介していきます。

 

化学物質を輸送には法令上の規制に注意

フッ素に限らず化学品を輸送するときは、その物質の性質や量、輸送形態に合わせたルールに従わなければなりません。例えば運搬用の容器の材質や最大容積、構造などの基準が設けられていて、一定以上の性能を持つ容器でなければ使用することができないと定められていることもあります。

積載方法についても同様です。所定の技術上の基準をクリアする形で積載をしなければなりません。容器外部に危険物の品名や数量、注意事項などを記さないといけなかったり、容器の落下・転倒・破損などが起こらないようにしないといけなかったり、火災や溶解、爆発などの危険性を伴わない物に比べると特別の配慮を求められます。

 

フッ素に関連する輸送規制

フッ素の輸送をするときは、一般的な注意点として「直射日光を避ける」「容器の破損や腐食、漏れがないようにする」「荷崩れが起こらないようにする」などが挙げられます。しかし、それ以前に国内全体で一律に適用されるルール(法令)がありますので、海上・航空・陸上のいずれのルールにより運ぶときも次の法令に従わなければなりません。

  • 道路法
  • 港則法
  • 航空法

以下で、これらの法令に基づく規制内容を説明します。

 

道路法に基づく規制

道路法に基づき、「特定の場所における車両通行の制限」が設けられています。道路法の運用に関して詳細な規定が置かれた道路法施行令でも次のように条文が置かれています。

道路管理者は、次に掲げる危険物を積載する車両のうち水底トンネルを通行することができる車両を、・・・道路管理者の定める要件を満たしているものに限ることができる。
一 火薬類
二 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二条に規定する高圧ガス
三 毒物又は劇物

2 道路管理者は、前項各号に掲げる危険物を積載する車両が水底トンネルを通行することができる時間を限ることができる。

引用:e-Gov法令検索 道路法施行令第19条の13
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327CO0000000479

危険物を積載した状態で水底トンネルやこれに類するトンネルを通行することが禁止(または制限)されているのです。なお水底トンネルは全国に20か所ほどあり、また、ここで規制される危険物にはフッ素そのものだけでなくフッ化水素やフッ化水素を含有する製剤も該当します。

 

港則法に基づく規制

港内での船舶交通の安全等を目的とした法律が「港則法(こうそくほう)」です。港則法では次の条文が置かれています。

爆発物その他の危険物(当該船舶の使用に供するものを除く。以下同じ。)を積載した船舶は、特定港に入港しようとするときは、港の境界外で港長の指揮を受けなければならない。
2 前項の危険物の種類は、国土交通省令でこれを定める。

引用:e-Goc法令検索 港則法第20
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000174

指定された危険物に関しては自由な入港が許されず、港長の指揮を受けないといけないと定められています。危険物は「港則法施行規則」および「港則法施行規則の危険物の種類を定める告示」で定められており、さまざまな種類があります。そしてここで留意したいのは「危険物船舶運送及び貯蔵規則(危険物を海上輸送するときに適用される法令。危規則とも呼ぶ。)」で定める「高圧ガス」です。フッ素やその化合物を高圧ガスの状態で管理することがあるため、この場合は危規則や港則法の規制に従う必要があります。

 

航空法に基づく規制

「航空法」は、航空機の安全確保、航行における障害の防止を図ること、輸送の安全確保と利用者の利便増進をもって公共の福祉に資することを目的とした法律です。同法では危険物の輸送に関して次の規定が置かれています。

爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で国土交通省令で定めるものは、航空機で輸送してはならない。
2 何人も、前項の物件を航空機内に持ち込んではならない。

引用:e-Goc法令検索 航空法第86
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000231

この規定が適用される物件は航空法施行規則で定められており、「火薬類」や「爆薬」などが列挙されている一つに「高圧ガス」も挙げられています。つまり高圧ガスの状態で管理されているフッ素やその化合物などは、航空法に基づき航空機で輸送することが禁じられています。道路法や港則法では制限されるにとどまり特定の要件を満たせば輸送が可能であるところ、航空機に関してはより強く規制がかけられているのです。

 

まとめ

フッ素など化学物質を扱う事業者は、さまざまな法令に留意しないといけません。輸送におけるルールも留意すべきものの一つで、例えば水底トンネルでの通行が制限されていますし、船舶においても一定の制限を受けます。航空機においては高圧ガスの輸送が禁止されています。海外への輸送となればさらにチェックすべき法令が増えてきますので、専門家の方に相談して適切な取り扱い方法を把握しておく必要があるでしょう。

CONTACT

各種お問い合わせ、ご質問、資料請求など、
お気軽にご連絡ください

SNS

日本ポリマーの
最新情報をチェック!