半導体チップの発熱による問題とその原因、解決方法を紹介
半導体チップの性能を十分に発揮し、また、危険を避けるためにも発熱には注意が必要です。ここではCPUなどの半導体を使った機器にとって発熱の何が問題なのかを説明し、その原因や、具体的な解決方法についても紹介していきます。
CPUが発熱するとどうなる?
パソコンに使われているCPUは、駆動時に熱を発します。それも50℃程度であれば負荷をかけることで簡単に上昇します。CPUの温度が上がるとどうなるのか、以下でいくつか紹介していきます。
誤作動を起こす
1つは誤動作を起こす可能性があるということです。CPUやGPUには適正な動作温度が定められていますので、利用時にはその温度以下に保持しなければ、正常な動作が保証されません。そもそも半導体は熱に弱いという特性を持っており、一般的な動作限界温度は100℃程度とされています。
誤動作、異常な処理速度の低下など、様々な問題が温度上昇によって顕在化してくるでしょう。
壊れる
単純にイメージしやすいのは温度が上昇し過ぎて壊れるということです。
CPUなどの温度が上がっている間、正しく動作しないだけならその後冷却することで対応が可能です。しかし一度壊れてしまうと冷却したところで意味がありません。修理に出したり買い直したりしなければいけなくなくなります。しかもCPUはコンピューターにおける核部分ですので、ここが故障するというのは致命的です。
配線抵抗の増大
消費電力が発熱に繋がるのですが、消費電力は抵抗値に左右されます。そして抵抗は、電流を流しやすいとされている素材であっても完全にゼロではありません。そのため抵抗が小さくなるよう作られた配線であっても、少なからず配線抵抗が存在するのです。
ただ、基本的には配線抵抗だけで大きな温度上昇を引き起こすものではありません。しかしながら一度何らかの原因によりCPU等が発熱すると、その影響を受けて配線の温度が上昇し、配線抵抗も上昇することがあります。そうすると、さらに高温へと上昇してしまうのです。この段階まで来ると加速的に色んな箇所に異常が現れてくるでしょう。
発火や爆発
最悪の場合、発熱によって発火や爆発が起こります。単にデバイスが使えなくなるだけでなく、人体への被害が生じてしまいます。
ただ、現代において発火や爆発が起こるのは稀です。通常、安全機構が備わっており、ある程度温度が上昇すると自動的にシャットダウンするようにできています。まずは動作クロックを下げるところから始まり、これにより駆動電圧が低下、動作を緩やかにし、それでも異常が続く場合には強制シャットダウンを実行します。
CPUが発熱する理由
CPUが発熱をする主な理由としては以下が挙げられます。
・電力の消費
・リーク電流
・配線抵抗
・冷却ファン等の故障
・ほこり
トランジスタはクロックごとにスイッチングをし、その度に電力を消費します。微量ながらも、これを多く繰り返すことで人が感じ取れるほどに熱を帯びてきます。また、どうしても電流が漏れてしまうことからも発熱に繋がってしまいます。これをリーク電流と呼びます。
信号のやり取りは配線に沿って電子が移動することで行いますが、配線も抵抗がゼロではありませんので、ここでも電力が消費され、発熱に繋がります。配線にどんな素材を使うのか、距離はどれほどか、配線幅はどれほどか、といったことも抵抗値にかかわってきますので、結果として発熱にも影響を及ぼします。
また、どうしても発熱をしてしまうことから冷却ファンなどが取りつけられることもありますが、これが故障してしまうと一気に発熱のリスクが高まります。ほこりが溜まってしまうのも同様に大きな問題となり得ます。
CPUを冷却する方法
CPUを冷却する方法はいくつかあります。主に「自然冷却」「空冷」「水冷」です。これらの手法を併せて冷却するケースもありますし、発熱のしやすさや使用状況に応じて採用する手法は変わってきます。
ヒートシンクをつける
ヒートシンクは熱を伝えやすい素材を板状にしてプロセッサの表面につけ、表面積を増やす形で冷却を促すというものです。空冷との相性がよく、ファンと併せて、風をヒートシンクに当てるようにして使われることも多いです。
自然冷却のためヒートシンク自体の利用に電力を使う必要がありませんし、仕組みが単純、無音で冷却ができるという利点を持ちます。ただし冷却効果はそれほど大きくないため、発熱が大きなものだと巨大なヒートシンクが必要になってしまいます。
冷却ファンをつける
冷却ファンを使った空冷も一般的です。モーターでファンを回し、風を直接当てることで冷やします。市販のコンピューターでも通常はこの方式が用いられています。簡単な仕組みで、自然冷却では対応できない発熱にも対処できますが、ファンを回すモーターの音や風切り音が出てしまいます。
ただ、筐体の構造や風の流れを把握し、上手く取り付けることで効率的な冷却が実現できるでしょう。
水冷装置をつける
水冷は空冷よりもさらに大きな冷却効果が得られます。CPUを冷やす場合には、水を循環させるヘッドを接触させて熱を取ります。効果が大きい反面必要な部品が大きく、直接水をかけるわけにいかないなど、設計の自由度も下がります。
そのため市販のパソコンを水冷で対応することはないでしょう。大型のコンピューターや、特別な用途のコンピューターで用いることになります。
まとめ
CPUなどで用いられる半導体チップは熱に弱いため、必ず一定温度以下に保つための仕組みが必要です。あるいは安全機構を備え、危険な状態に至る前に動作を強制的に止める仕組みが備わっていなければなりません。
危険な状態に至らなくても温度が上がると処理速度が下がってくるため、温度上昇による速度低下が気になる場合には冷却装置を別途付けるのも一つの手でしょう。ヒートシンクを使ったりファンを使ったり、さらには水冷という方法もあります。
また、ほこりなどを払い、日々のメンテナンスを忘れないことも大切です。
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