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レジストコーティングとは?半導体製造の基本工程を解説

レジストコーティングは半導体製造に欠かすことのできない重要な工程です。“レジストコーティングとは何か”についてこの記事で解説し、具体的な手法やレジストコーティングにおいて重視されるポイントなども説明していきます。

 

半導体製造におけるレジストコーティングの立ち位置

半導体製造の工程は大きく前工程と後工程に分けられます。前工程では主にウエハにチップを作り出し、後工程では主にチップの切り出しからパッケージ、出荷までを担います。

「レジストコーティング」はレジストと呼ばれる液剤を塗布することによるウエハのコーティングを指し、前工程に該当します。レジストコーティングに先立ってウエハの洗浄や成膜が行われます。ウエハの上に微小でもゴミがあると回路に欠陥が生じるおそれがあるため、洗浄に関しては必要に応じて複数回行われます。またここで行われる成膜とは回路の基になる薄い膜のことであり、酸化シリコンやアルミニウムなどから作ることになります。

レジストコーティングを終えてレジスト膜をウエハ上に作った後は、露光(ウエハに光を照射してパターンを転写すること)、現像(露光部分を溶かして薄膜を露出させること)、エッチング(パターンに応じた削り出し)、不純物拡散(不純物の注入)などを進めていきます。こうして回路のパターンが出来上がれば、コーティングしたレジストを剥離していくことになります。不要なレジストを、ガスや薬液などを使って落としていくのです。

 

以上が、簡単な半導体製造の流れとレジストコーティングの内容です。続いてレジストについて詳しく見ていきましょう。

 

レジストとは

「レジスト」とは半導体製造に限って使われている用語ではありません。広く工業用途で使われる保護膜や、何らかの形成をするのに使われる物質を指して呼ばれます。このうち特に半導体製造用のレジストは、ポリマー(樹脂)・感光剤・添加剤などから構成される混合物のことを指します。

レジストの製造は高度な計算に基づいており、特定パターンを形成するために、特定のポリマーに対して強い酸性を示す有機酸(賛成の有機化合物の総称)に感光剤を組み合わせられています。半導体のプロセスにおいては“感光性”が重視されます。この性質があるからこそ、後続の「露光」や「現像」が可能となっているからです。この性質に着目したときのレジストは「フォトレジスト」とも呼ばれます。実際、大量生産に活用されているレジストの多くはフォトレジストです。後述のスピンコータやスリットコータなどを使ってウエハ上に塗布することになります。

 

スピンコート法によるレジストコーティング

感光液としてのレジストは、スピンコータを用いてコーティングしていくのが一般的です。これは「スピンコート法」と呼ばれ、均一性の高さや、プロセス・装置が簡易であることなどの理由により多様な産業にて用いられています。また、コーティング時のみならず、現像時のスピン乾燥に兼用されるケースもあります。

スピンコート法によるレジストコーティングの基本手順は次の通りです。

  • 薬液吐出
    ウエハ中心に薬液を滴下する
  • レジストを均一に広げる
    ウエハを1,500~5,000rpm(rpm:1分間の回転数)の速度で回転させるのが通常
    遠心力を使って余分な薬液を飛ばすとともに、レジストをウエハ全面に均一に広げていく
  • 乾燥
    レジストは溶媒が乾燥することで粘度が増加するため、高速回転の過程でレジストが固定されていく
    さらに必要に応じて、熱風乾燥機などの硬化装置を使ってレジストを固めていく

スピンコート法の特徴

スピンコート法を使ったレジストコーティングでは、「数nmから数十μmといった幅広い膜厚の成膜が可能です。装置構成も簡便で、比較的低コストで済むという特徴も持ちます。コストに関しては、特に真空プロセスを用いる必要がない点が効いていると考えられます。しかし、遠心力を使った機構でシンプルな装置構成が実現できている反面、遠心力により薬液のロスが多く発生してしまうのはスピンコート法の難点とされています。

 

レジストコーティングでは均一性が重要

レジストコーティングの仕上がり具合が露光の精度にも影響してきます。形成された膜厚に応じて露光量を調整しなければならないからです。厚みが均一で屈折率一定のフォトレジスト膜を形成するのが理想的と考えられています。そこでレジスト塗布を上手くコントロールする必要があるのですが、ここで重要となるのが①ウエハの温度②薬液の温度③排気流量の3点です。ウエハや薬液の温度が高いほどレジストの乾燥が促され、レジストの粘度も上昇します。結果、レジストの膜厚は増加する方向に傾きます。排気流量も、これが多いと乾燥が促進され、膜厚増加に繋がります。

なお、スピンコート法によりレジストを塗布した場合、表面張力が働き外周部分がレジストで盛り上がってしまうなどの問題が起こってしまいます。裏面にまでレジストが回り込むこともあります。そこでこれらを除去する作業も必要です。外周部の除去を行うのが「エッジリンス」です。エッジ付近に薬剤を吐出することでレジストを取り除きます。ウエハ裏面の除去は「バックリンス」と呼ばれます。こちらも裏面に薬液を吐出することでレジストを取り除きます。

 

まとめ

レジストコーティングは半導体製造における重要な工程の1つです。使用される薬液や塗布の方法なども様々ですが、重要なのは均一にコーティングを行うことです。コーティングの質が露光の精度や時間にも関わってきますし、ひいては半導体デバイスの性能にも影響してきます。

 

 

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