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TSMCとはどんな企業?世界トップの半導体企業を紹介

世界から注目を集めている「TSMC」という半導体企業があります。半導体産業の中核を担い、さらには国際政治にも影響を与えるほど重要な存在となっています。この記事ではTSMCがどのような企業でどれほどの影響力を持っているのか、どのような点に強みがあるのか、解説していきます。

 

TSMCとは

TSMC「Taiwan Semiconductor Manufacturing Company」の略称です(「台積電」とも略する)。

ここから分かるように台湾の企業で、台湾内で最大級の規模を誇るとともに、世界でもトップクラスの時価総額を有しています。また、半導体メーカーには主に設計等を担い工場を持たない「ファブレス企業」と、主に製造を担うため工場を持つ「ファウンドリ企業」がいるのですが、TSMCは後者のファウンドリ企業にあたります。

というのもファウンドリという型自体、TSMCの創業者が発展させたものであり、世界初のファウンドリ企業がTSMCであると考えられています。1987年に立ち上げられ、今では世界中の様々な主要半導体メーカーから製造を受注しています。

 

世界情勢にも影響を与える存在

TSMCは半導体産業の枠内のみならず、世界情勢的にも最重要企業であると考えられています。このことはアメリカと中国の対立と密接な関係を持っており、経済的な問題を超え、国政政治におけるキーにもなっています。

 

半導体の価格決定力も持つ

TSMCの時価総額は60兆円を超え、日本トップのトヨタの倍にあたります。ファウンドリ市場に限ればなんとシェアは60%で、第2位のサムスン電子に大きな差をつけています。実際、2021年にTSMCが値上げを行うと世界中にその影響が及びました。大きなシェア、高度な技術・供給力をTSMCが有しているため、半導体チップに関して実質的な価格決定力を持っているのです。

 

単に大きな供給力を持つだけでなく高水準のチップ製造技術があることから、世界の主要メーカーはTSMCに依存せざるを得ない状況にあります。一般的に、「ファウンドリ企業」は半導体産業の構造上はファブレス企業の下流にあたるため、ファブレス大手メーカーのほうが大きな力を持つケースが多いです。しかしTSMCの場合はその圧倒的な規模から、関係性が逆転しているとも言える状態にあるのです。

しかも世界の主要メーカーと多数の取引を交わすことで世界のニーズをTSMCは把握しやすくなっています。そのため市場の流れに一定のコントロールをし得る立ち位置にあるとも言われています。実際、CPU市場のトップ争いにTSMCが影響を与えています。

同市場だと、従来から最も大きな力を持っているのはインテルです。そしてその次にAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が位置します。長らくインテルが圧倒的なシェアであったのですが、近年、AMDが製造委託先をTSMCに切り替えると勢力関係が変わり始めています。

 

TSMCの強み

TSMCが世界トップの企業に君臨できているのは、少なくとも以下の強みを持つことが関係していると言えます。

 

高度な微細加工技術

半導体チップの回路線幅が狭いと、それだけ狭い面積でも多くの回路を詰め込むことが可能となります。つまりチップの集積度は線幅にもかかっているのです。しかしこの微細加工をするには高い技術力が必要で、どの企業でも簡単にできるというものではありません。また、シェアを高めるには供給力も必要ですので、微細加工による製造が大量にできる工場をかまえる必要もあります。

この点、TSMCは先んじて線幅7nmを超えた微細加工に着手したことが、他社に差をつけた一つの要因であると考えられています。現在でも7nmレベルでの生産が可能な企業は世界でも数社です。5nmとなれば対応可能なのはTSMCとサムスン電子くらいです。TSMCはさらに3nmでの量産にも進んでいますし、2025年には2nmでの量産を始める計画となっているようです。

微細化に伴い性能が向上するだけでなく、エネルギー効率の向上により消費電力削減にも繋がると期待されています。

 

大規模な投資のサイクル

TSMCが巨大な企業に成長できた理由として、高い技術力のみならず、大規模な投資サイクルを実践してきたという経営面での成功も挙げられます。大きな売上を大きな投資へと回し、その回転を速く行うことで急速な巨大が実現。毎年数兆円規模の投資がなされています。

 

人材の層の厚さ

高い技術力を支えるためには技術者の存在が欠かせません。TSMCは技術者を大事にする企業と言われ、それ故優秀な技術者層を厚く保てているのです。半導体技術者が得ている報酬の額も、日本企業で働く場合に比べて数倍に上ると言われています。

 

徹底した情報管理体制

世界の大企業と取引を継続するためには、情報漏えい等のリスクを排除しなければなりません。そこでTSMCでは情報管理体制も徹底されており、堅牢な管理システムが構築されています。顧客同士がライバル企業であるケースもありますので、TSMC内部でそれぞれの情報が交わらないようにしているのです。情報へのアクセス権限は現場から上層部にまで徹底され、常に厳格にログが取られています。

 

まとめ

半導体産業を知る上で最も重要な企業「TSMC」について紹介しました。単に大きな売上を持つだけの大企業ということではなく、世界中の主要ファブレス企業のニーズが集約されており、国政にも影響を持つようになっています。TSMCの動きは日本にも影響を与えることになりますので、今後の動向をチェックしておくと良いでしょう。

 

 

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