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【半導体製造】不純物添加の必要性や手法(イオン注入・熱拡散)について

酸化膜を形成したウエハに回路パターンをつけていくには、露光・現像・エッチング・アッシングなどの工程が必要になります。ただ、これだけの加工ではまだ半導体チップとして十分に機能しません。

続いて必要になるのが“不純物の添加”です。あえて不純物を注入することで、デバイスとして必要な電気的特性を備えさせられるからです。この記事では、この不純物添加について解説をしていきます。

 

半導体に不純物を添加する理由

半導体の良さはその電気的特性にあります。導体や絶縁体と異なり温度に応じた抵抗の変動が大きいため、様々な形で活用されてデバイスの複雑な処理能力を実現しています。しかし半導体にも色んな種類があります。それぞれに電気的特性は異なりますし、半導体をひとくくりにして画一的な取り扱いをすることはできません。

 

使い勝手の良いものもあればそのままだと扱いづらいものもあります。いずれにしろ、純粋な(高純度の)半導体だと、相当な高温でなければその特性を活かすことができません。これを調整し、室温近くで抵抗値のコントロールができなければならないのです。

そこで行われるのが“不純物の添加”です。「ドーピング」と呼ばれることもあります。あえて半導体以外の不純物を含ませることで電気的特性を変化させ、室温近くで抵抗値を変化させられるようにしているのです。ただ、不純物の添加といってもその量は非常に少ないです。材料にもよりますが、比較的大きな割合で添加されるときであっても100万分の1程度でしかありません。場合によっては1億分の1の添加しか行われません。このことからも分かるように、不純物の添加には微細加工の高い技術が求められます。

 

添加する不純物の種類

当然ながら、添加する不純物は一定の物質に限られます。

不純物に応じてN型半導体・P型半導体の違いが出てきます。例えばN型半導体を作るには、P(リン)・As(ヒ素)・Sb(アンチモン)などを添加する必要があります。これに対してP型半導体を作るには別の不純物、B(ボロン)・Al(アルミニウム)・Ga(ガリウム)などを添加しなければなりません。こうして作られたN型半導体とP型半導体を接合することで、整流作用など特別な特性を発揮することができています。

 

不純物添加の手法

不純物を添加する手法には「熱拡散方式」「イオン注入方式」があります。

熱拡散方式では、高温の炉内でウエハに不純物ガスを堆積させていきます。一度の処理で大量のウエハに不純物添加をすることができるといった利点を持ちますが、不純物濃度や添加の深さなどを制御するのが難しく、微細加工にはあまり向いていないとされています。

 これに対してイオン注入方式では、不純物をまずはイオン化することから始めます。このイオンを高電圧下で加速させ、ウエハに注入します。イオン注入方式には次に示す特徴があるため、精密な添加を要する場面に適しています。

  • 注入の深さが制御できる
    電圧の調整によりイオンの注入深さが制御できる
  • 注入量が測れる
    ウエハに流れるイオン電流の測定により注入量を定量的に測ることができる
  • 高純度な注入ができる
    熱拡散方式よりも不要なイオンの除去がしやすく、高い純度で注入することができる
  • 照射位置の精度が高い
    直進性を持つイオンビームを照射するため、狙った位置への不純物添加がしやすく、複雑かつ微細な構造の製造にも向いている

近年は特に微細化が進んでいるため、不純物添加もイオン注入方式が多く採用されるようになっています。ただ、イオンビームの照射により注入領域が非結晶化してしまいますので、その後回復熱処理を施す必要があります。

 

イオン注入装置について

イオン注入を行う装置は、①必要なイオンを取り出す部分②イオンを加速させる部分③高精度でイオンを照射するための部分、から構成されます。

 

  • ①には、不純物元素を発生させるイオン源や電極、不要なイオンを除去する質量分離器などがあります。
  • ②は加速管と呼ばれ、イオンに電場をかけて半導体に注入するためのエネルギーをここで得ることになります。
  • ③には、イオンの入射を制御するための偏向器、イオンビームを磁界により絞り込むためのレンズ、ビームの位置を制御するための走査器などがあります。イオン注入方式のイオンビームは照射径が小さいため、走査器によりウエハ全面に当てられるよう操作をする必要があるのです。

ここではおおまかにイオン注入装置の構成を紹介しましたが、半導体製造のただ1つの工程で使われる装置だけでもこれだけの技術が搭載されていることがおわかりいただけたと思います。

 

まとめ

半導体が実際のデバイスで機能するためには、純粋な半導体だけでなく、微小量の不純物も添加されている必要があります。熱拡散により大量処理を進めていくこともできますが、近年の精度要件を満たす上ではイオン注入によるドーピング技術が重宝されています。

 

 

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