「アーキテクチャ」とは?知っておきたい半導体用語
ITや半導体の領域に限らず、「アーキテクチャ」という言葉を聞くことがあるかと思います。ここでは特に半導体デバイスに関するコンピューターアーキテクチャについて用語の意味を整理していきます。同じコンピューターアーキテクチャの中でも様々な使われ方をしていますので、混乱のないよう意味を把握していきましょう。
コンピューター用語として「アーキテクチャ」
コンピューターの性能を大きく左右するのはCPUです。そしてCPUの性能は、そのアーキテクチャによって決定づけられます。ここで言うアーキテクチャとは、コンピューター用語でのアーキテクチャです。
本来的には「建築物」と言った意味を持つ言葉で、建築用語として用いられるのがかつての主流でした。ただ、ここ半世紀でコンピューター用語としてのアーキテクチャがよく使われるようになり、現代ではコンピューターに関する用語としても一般的になりつつあります。
なお、アーキテクチャという言葉が使われ始めた当初は、コンピューターにおけるマシン構成を指して呼ばれていました。今でもおおよその意味合いは変わっていませんし、建築用語としてのアーキテクチャのイメージとも大きく外れるものではありません。ただし、細分化されてきた現代ではあいまいなままだと理解ができなくなることもありますので、要注意です。
「アーキテクチャ」の分類
アーキテクチャは設計思想と表現されることもありますが、これでは少し抽象的です。もう少し具体的に言い換えると「コンピューター内部での互換性の保障」と表現できます。これは、アーキテクチャが命令セット・入出力・レジスタ構成といったものの仕様をまとめて定義したことに由来します。
また、従来はコンピューターシステム全体を指して定義されていたのですが、従来のコンピューターとは構造自体大きく変わってきたため、今ではその概念を細分化し、下層レイヤーにも用いられるようになっています。主に以下の3種です。
命令アーキテクチャ
マシン語等から見たときのCPUの定義を命令アーキテクチャと言います。ソフト視点でのCPUのインターフェイス定義を意味しており、同じアーキテクチャのCPUであればソフトそのままでも実行が可能ということになります。命令アーキテクチャはさらに「RISC系」「CISC系」「VLIW系」に分けることができます。
RISC系は回路をシンプルにして処理速度の向上を図るアーキテクチャです。組み込み系のマイコンの多くはこのRISC系です。CISC系はコードの量を少なくし、メモリの節約を図るアーキテクチャです。複雑な処理であっても1つの命令で実行できるように命令が多数定義されます。VLIW系は複数の命令をひとまとまりにし、同時に並列実行して処理速度を速めるというアーキテクチャです。並列実行が高効率で実行できるコンパイラ技術が不可欠です。
以上のように、これらは命令の単純さによって分けられています。
マイクロアーキテクチャ
マイクロアーキテクチャはCPUより下層のシステムに関する定義です。つまり、CPUの内部で命令をどのように実行するのか、という技術にあたります。命令アーキテクチャを実装するシステムの構成、例えばキャッシュ容量や実行ユニット、省電力化の仕組みといったものです。半導体チップ上での部品配置などは、このマイクロアーキテクチャを元に進められます。
システムアーキテクチャ
システムアーキテクチャは、上で説明したもの以外のシステム全般に関わるアーキテクチャのことです。「バスアーキテクチャ」「メモリアーキテクチャ」「ネットワークアーキテクチャ」「GPUアーキテクチャ」なども大きなくくりとしてはすべてシステムアーキテクチャに該当します。特にGPUアーキテクチャはCPU同様コンピューターの性能に強く影響します。
デバイス別にアーキテクチャにシェアは異なる
アーキテクチャは単一ではありません。例えばCPUのアーキテクチャだけを見ても、一般的なパソコンからスーパーコンピューター、サーバー、スマホやタブレットなど、デバイスによって当然主流のものは異なります。
例えば一般的なパソコンについてはCICS系のアーキテクチャがほとんどのシェアを占めており、スパコンやサーバーなどでも採用されています。ただしスパコン等についてはRISC系のアーキテクチャのシェアもあります。スマホやタブレットについてはARMのアーキテクチャが大きなシェアを持っています。なお、近年市場を伸ばしているIoT領域では多様なデバイスが用いられますので、アーキテクチャも様々なものが採用されます。
まとめ
ざっくりとした理解であればそれほど難しくありませんが、細分化されたアーキテクチャを見ていくと奥が深いです。ここではどのような分類がされているのか、というところにしか入りませんでしたが、個別に見ていくと同じ系列のアーキテクチャにも色んなものがあることに気がつきます。また、より理解を深めるには企業別のアーキテクチャに関しても見ていく必要があるでしょう。
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