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プロセスルールの微細化にはメリットとデメリットがある

半導体チップの性能を把握する上で重要な「プロセスルール」というものをご存知でしょうか。よくスペックの紹介においてプロセスルール、あるいは単に「プロセス」として、サイズの表記がなされています。ここではプロセスルールとは何か、これを微細化していくことのメリットやデメリットについても解説していきます。

 

プロセスルールとは

まず、「プロセスルールとは何か」ということについてですが、これは「最小加工寸法」を指します。

実は厳密な定義付けはされておらず、もともとは「半導体チップの内部における配線幅」という認識が持たれていました。場合によってはトランジスタの「ゲート長」を表す言葉としても用いられています。半導体チップにおいてサイズというものは非常に重要で、できるだけプロセスルール、配線幅が小さいほど良いとされてきました。そのため「プロセスルール ○nm」という表記はそのままスペックとして捉えられてきました。

ただ、近年は必ずしも微細化の指標として用いることはできなくなっています。この数値が実際の物理長にあてはまらないケースが出てきているからです。特に3次元トランジスタにおいては単純に最小加工寸法を見ても性能は評価できません。

そこで今では本当の物理長を示さず、半導体チップの面積に応じて0.7倍ずつ数値を更新するものとして慣例的に用いられています。よって、プロセスルールはチップの大きさを測るおおよその指標であることに留意しましょう。

 

プロセスルール微細化のメリット

プロセスルールの微細化が進めば高機能化や処理の高速化という恩恵が得られます。またこれに応じてコストカットや省電力化も期待できます。

 

高機能化

プロセスルールの微細化が進めば、同じチップ面積にて、多くのトランジスタを乗せられることから、高機能化が実現できます。

逆に、同じトランジスタ数のままチップ面積を小さくすれば、同じシリコンウエハーからき出すことができる数が増えることになります。要はコストカットに繋がるということです。

 

高速化

トランジスタのゲート長が小さくなれば、電子の移動が少なくなり、高速化が実現されます。高クロックでの動作ができるようになるからです。同時に、小さなトランジスタは低電圧で動作することからも高速化が期待できます。これは、ONOFFの電圧差が小さくなることで高速のスイッチが可能となるからです。さらに低電圧であることは省電力化にも効果的です。

低い電圧でスイッチできることのほか、回路が小さくなることで電気抵抗を減らすことができ、結果、必要な電力も減らせるという効果も期待できます。消費電力はCPUの発熱にお大きく影響しますが、これを抑えられることで駆動時間の延長にも効果を発揮するでしょう。

 

プロセスルール微細化のデメリット

プロセスルールを微細化することには様々なメリットがありますし、基本的には良い方向へと進むものです。しかし、一部デメリットもあるのも事実です。良くない側面についても知っておきましょう。

 

小さすぎると抵抗が増大

微細化が進んでくると、ある程度のところから弊害も生じてきます。1つは「配線抵抗の増大」です。 

配線幅が小さくなることで全体のサイズは小さくなり、電子の移動距離も短くなります。この観点からは確かに電気抵抗を減らすことができるのですが、配線の幅が小さくなることに着目すれば電気抵抗は増えてしまいます。そのため場合によっては発熱や消費電力の増大にも繋がってしまいます。

 これに対しては配線の素材を変更することで対応がなされています。例えばアルミから銅への変更といった形で抵抗を下げたり、抵抗はそこまで下がらないが微細化に適した素材を採用したり、といったやり方です。

 

漏れ電流が出てくる

微細化の弊害はもう1つあります。「漏れ電流(リーク電流)が出てしまう」ということです。

トランジスタが小さくなりすぎることで電流を完全に塞ぎ止めることができず、漏れ出てしまうのです。トランジスタをOFFに切り替えても常に余分な電流が出てしまうことになります。これに対しては3次元トランジスタやHigh-K素材といった技術での対応がなされています。

 

まとめ

以上のように、現状はプロセスルールの微細化は半導体チップの性能を左右する指標として捉えられており、実際、小さくすることには様々なメリットがあります。しかしながら、ただ小さくするだけでは種々の弊害が生じますし、新たな技術による改善もしていかなくてはなりません。

今では3次元の集積技術に対する研究が盛んですし、素材技術、新たなデバイスの開発など、色んな研究によってかつての微細化の限界も突破しています。ただ、微細化にはどうしても物理的限界があるため、いつまでも微細化を頼った高性能化は望めません。そうすると、将来的にはプロセスルールが持つ意味も今とは変わってくるかもしれません。

  

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