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【脱炭素社会の実現】エネルギー・環境問題に向けた注目の研究開発分野4つ

近年では単に科学技術のレベルを向上させるだけでなく、エネルギー問題・環境問題に配慮しつつ性能向上を目指すというのがトレンドになっています。

そこで脱炭素社会の実現を命題に、半導体関連でも様々な取り組みが行われています。以下では、この観点から注目される最近の研究開発について紹介していきます。

  

脱炭素社会実現に向けた取り組みが盛んになっている

地球上の資源や環境は無限のものではなく、持続可能なエネルギー社会に向かうことが世界的にも重要視されています。SDGsに代表されるように、エネルギー・環境、その他経済や安全の観点でも様々な取り組みが進められています。

日本もパリ協定に基づいて、2050年までの温室効果ガス80%カットの目標を掲げています。実質排出量ゼロの脱炭素社会実現を目指すとしていますが、そのためには太陽光発電や風力・地熱発電など再生可能エネルギーの利用拡大が欠かせません。その他にも、エネルギー変換や利用時のロスをできるだけ小さくすることなどが非常に重要です。

  

脱炭素社会に向けた注目の研究開発

脱炭素社会実現などエネルギーや環境問題に対して、半導体関連、とりわけ材料」「ナノテクノロジーの分野では以下の研究開発が注目を集めています。

  • 太陽電池の性能向上と利用拡大
  • 再生可能エネルギーを大規模利用するためのシステム構築
  • EVや蓄電システム(ESS)に適した蓄電デバイスの開発
  • 次世代パワー半導体材料の開発

  

太陽電池の性能向上と利用拡大

再生可能エネルギーの利用拡大を図る上では、太陽電池の性能向上・利用拡大が欠かせません。太陽電池に関しては、効率アップ・コストダウン・耐久性アップが特に求められており、新しい半導体材料や素子構造、モジュール化技術の領域で研究競争が激しくなっています。

さらに近年のニーズは「利用領域の拡大」にあります。より脱炭素を図るためにはこれまで利用されてきた領域以外にも拡張していく必要があるからです。その観点からは、フレキシブル性や易交換性、軽量性などが重視されます。また、デザイン性にも優れた多様なタイプで提供できるようにすること、さらにはゲームチェンジング・テクノロジー(社会の一変させるような革新的技術)となり得るような次世代の太陽電池開発も重要な研究ターゲットであると捉えられています。

  

再生可能エネルギーを大規模利用するためのシステム構築

前項の太陽電池は、再生可能エネルギーを生み出すためのものです。上述の通り、デバイスの性能向上だけでなく、利用領域の拡大も目指すべき社会のためには重要です。そこで、各デバイスに着目するだけでなく、社会全体での大規模利用を意識したシステム構築も欠かせません。

  

例えば、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは生産エリアが限られており、主な消費エリアである都市部から離れているケースが多いです。しかも季節や天候、時間帯によっても獲得エネルギーが変動してしまい、社会に浸透させて大規模利用するには安定性を欠いています。

 そこで、生産エリアにて再生エネルギーを中長期的に貯蔵する媒体と、そのキャリアを消費エリアまで運送して再びエネルギーに変換するというシステムの構築が必要です。このエネルギーキャリアに関する領域で、盛んに研究開発が進められています。エネルギーキャリアとして期待されているのは、水素アンモニアなどです。

  

EVや蓄電システム(ESS)に適した蓄電デバイスの開発

蓄電デバイスとは、「電気エネルギーの入力を受け、これを保持、その後電気エネルギーとして出力」をするデバイスのことです。入力されたエネルギーの保持形態はデバイスによって様々で、例えば以下のような蓄電デバイスが挙げられます。

  • キャパシタ  :静電エネルギーとして保持
  • 超電導コイル :電流エネルギーとして保持
  • フライホイール:運動エネルギーとして保持
  • 二次電池   :化学エネルギーとして保持

これらエネルギー変換機構のうち特に近年発展しているのが、二次電池です。その中でも「リチウムイオン電池」はEV(電動自動車)用途、ESS(蓄電システム)用途で市場拡大が望まれています。

ESSとは「Energy Storage System」の略称で、「蓄電システム」や「グリッド電力貯蔵」などと呼称されることもあります。電力の生産源や高圧送電線・低圧送電線から構成されるネットワークに対しESSを機能させることで、再生可能エネルギーを基に生成した電力の貯蔵を図るのです。 

いずれの用途にしろ、蓄電デバイスには「大容量」「高出力」「急速充電」などの基本性能の向上が求められ、さらにESSの観点からは「長寿命」「高安全性」が重視されます。高エネルギー密度・大容量を進めると充放電における発熱が大きくなってしまうという問題があることから、どのようにして安全性を確保するのかが大きな課題となっています。そこで電解質を不燃性の無機固体に変換した電池の研究、電池構造に関する開発も進められています。

  

次世代パワー半導体材料の開発

エネルギー消費が増大しているため、その消費を抑制するため、高効率電力変換が可能なパワー半導体の開発が進められています。主流の材料であるシリコンに関する性能向上も続けられる中、同時に、ワイドギャップ半導体として使える新材料の開発も進められています。

  

まとめ

環境問題を解決し、脱炭素社会を実現するためには、再生可能エネルギーをどれだけ上手く活用できるかがポイントになります。

太陽電池の性能を向上させること、蓄電デバイスの性能を向上させること、また各デバイスの研究開発のみならず、社会全体で再生可能エネルギーを使いやすくするためのシステム構築も大きな課題となっています。

関連ページ:⇨次世代パワー半導体素材SiCについて

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