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半導体関連の研究開発トレンド6選!世界で注目されているテクノロジーとは

JST研究開発戦略センター(CRDS)では、国内外の科学技術イノベーションの動向等の把握・分析が行われており、その実現に向けた取組が行われています。そこで、研究開発戦略立案に向けた資料とすることを目的に、「研究開発の俯瞰報告書」が作成され、公表されていますhttps://www.jst.go.jp/crds/report/by-report/02/index.html)。

以下ではナノテクノロジー・材料分野に関する報告書の内容を参考に、世界の開発トレンド、特に半導体との関りが強い点に着目して6つの開発分野を紹介します。

 

次世代パワー半導体の開発

シリコンの高性能化が進められていますが、デバイス性能の限界が指摘されていることから、高耐圧化と低損失化を両立するワイドバンドギャップ半導体材料の開発も盛んになっています。

他方、次世代パワー半導体である「SiC」「GaN」に関しては実用化フェーズに入り、システムの高効率化、高周波動作による小型化が実現。そこで、高周波対応の受動部品の開発や高周波回路技術、実装技術の開発が注目を集めています。

 

マルチモーダルセンサーの開発

AI技術、ビッグデータ技術などが発展してきていますが、データの収集を担うセンサー側の技術も重要です。そこで、高度な分析に応じて多種多様なデータを集められる「マルチモーダルセンサー」に注目が集まっています。

物理センサーや化学センサー、その他多様なセンサーを1つのチップあるいは1つのパッケージ化させ、より幅広いセンシングを可能にすることを目指しています。これにより社会インフラの維持や自動運転のレベルを向上させること、その他医療・ヘルスケアから農業など様々な領域への応用が期待されています。

  

脳型AIチップの開発

次世代AI技術には高度な情報処理が求められます。そこで、人間の脳の構造や機能からヒントを得たテクノロジー、AIチップが期待されています。実際、現代においては画像認識や音声認識、自動運転や病気の診断、デバイス設計など、様々な用途でAIが使われるようになってきました。

AIであることの良さは、従来のコンピュータ上の処理のように単純な計算やプログラムの実行を行うものではなく、認識や予測、判断といった人間に近い情報処理を行うことにあります。

これをさらに推し進めたのが脳型AIチップです。脳科学が進展したことも寄与し、深層学習などにおいて脳機能の単純化したモデルの応用、その有用性もすでに実証されています。これにより処理の高度化や低消費電力化も実現すると期待されています。

  

低次元材料・トポロジカル材料の開発

デバイスの性能向上の限界を打破するため、低次元材料やトポロジカル材料の開発も進められています。例えば低次元材料であるグラフェンはシリコンの電荷移動度をはるかに上回ります。

さらに、金属や半導体、絶縁体などの分類に適さないトポロジカル物質は、特異な電子状態を持ちます。不純物に対しても電子が堅牢な輸送特性を持つなど、次世代の電子デバイス、エネルギー変換デバイスになり得ると注目されています。

  

3次元微細加工技術の開発

先端的半導体プロセスの進化軸は「セルフアライメント化」「高アスペクト比化」にあると考えられており、その上で重要な3次元微細加工技術の開発も盛んに行われています。なお、国内では、微細加工関連の大型プロジェクトがここ10年ほど大きな動きがなく、国内戦略における課題と考えられています。

 

多機能・複雑系材料設計・プロセス

多機能化・高性能化、相反する機能の共存などを実現するため、複雑な組成や構造の新材料を設計すること、そのプロセス技術の進展にも注目が集まっています。その背景には、様々な社会的課題があります。

例えば地球温暖化の抑制、環境負荷の低減、高度な情報化社会を目標とするSociety 5.0の実現などです。これら多様なニーズに応えるためには、大幅な性能向上・高機能化が実現できる材料やデバイスが必要です。

  

半導体素子や電池については、高機能化の他、大容量化・小型化・軽量化、さらには高速処理・高耐圧・高保磁力・高耐熱性・高強度・高電気伝導・高耐久性など複数の機能や場合によっては相反する機能を同時に持つことも求められるようになっています。しかし従来の単純な組成では対応が困難であり、未知の可能性を秘めている複雑な組成など、探索の対象を広げていくことが重要です。

ただ、膨大な材料探索空間に対し闇雲な活動を行うのは非効率です。そこで、新たなシミュレーション技術やビッグデータ解析、機械学習などデータ科学によって、目的の機能を持つ特定の組成や構造を探し出すこと、プロセスの構築などができるのではないかと期待されています。

 

その他世界の開発トレンド

他にもいくつか世界の開発トレンドが示されています。

例えば「次世代蓄電デバイス」「バイオファブリケーション」「量子コンピューティング」などの分野もそうですし、地球環境への配慮という観点からは「循環可能な材料設計」も注目の開発分野となっています。

 

まとめ

この記事では、2021年における世界の開発トレンドを一部紹介しました。政府により、大規模な投資が行われていることから、近いうちに上で挙げた分野が進展し、私たちの生活にも直接影響を及ぼすかもしれません。

関連ページ:⇨次世代パワー半導体素材SiCについて

関連ページ:⇨【脱炭素社会の実現】エネルギー・環境問題に向けた注目の研究開発分野4選

関連ページ:世界の半導体メーカー企業ランキング10社を紹介!

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