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半導体製造における現像とは?現像を行う理由や具体的な手法について解説

半導体チップを製造する過程では、回路のパターンの焼き付けを行う必要があります。パターンを刻むだけでも複数の手順を踏む必要があり、そのうちの1つに「現像」という工程があります。半導体製造に必須の工程ですので、プロセスの理解を深める上では現像に関する知識も身につけておく必要があります。


この記事で、“現像とは何か”、“現像はどのように行われているのか”といったことを解説していきますので参考にしていただければと思います。

 

半導体製造における「現像」の役割

半導体チップの回路パターンが出来上がるまでには様々な工程をこなしていくことになります。まずは回路の基となる薄膜をウエハの上に作り、さらにその上にレジストコーティング。露光によりパターンを転写。そして露光部分を溶かして薄膜表面を露出させるという「現像」を行います。

現像後はエッチングにより不要な部分を取り除いたり不純物の注入をしたりして、完成させていきます。さらに後工程へと入り、ウエハ上にできたチップの切り出しからパッケージングまでを進めることで製品として出来上がります。

 

現像の基本的な流れ

半導体製造でいう「現像」とは、“露光されたレジストを溶解する工程”と説明できます。

なお、光が照射された部分が融けるのはポジ式であり、光の当たらなかった部分が融けるのがネガ式と呼ばれます。デベロッパと呼ばれる現像装置を使用し、現像液をウエハにかけ、レジストを融かすことでパターンを作り出します。

 

現像の3つの手法

現像の手法には大きく3つがあります。

現像の手法 詳細
ディップ現像

液槽にウエハを浸す形で現像をする方法のことです。キャリアに複数枚のウエハをセットして一度に現像ができることから処理能力の面で優れています。ただし複数枚を同時に処理する場合には現像液に淀みが起きやすいため、現像の質が落ちる可能性があります。これを防ぐには液相内でポンプを使って循環させるなどの措置を講ずる必要があります。

また、同じ現像液を何度も使用していると溶解したレジストによりpHの変動などもあり、現像速度が低下することもあります。現像液の循環のみならず交換なども必要となるため、処理能力が高く優れていると単純に評価することはできません。なお、現像後のウエハは純水に浸した上でリンスを実施。ヒーターなどを使って乾燥処理を施します。

パドル現像 ウエハを回転させながら現像液をウエハの上に盛り、表面張力を利用して現像液を静止させた状態で現像する、一般的な手法です。常に新鮮な現像液が供給されることになり、品質のばらつきが生じにくいという特徴を持ちます。ただしウエハ中心に現像液を供給して回転により全面に広げていくため、ウエハ中心ほど現像速度が早くなりやすいです。なお、現像後もウエハを回転させながら純水を供給。リンスを行い、スピンにより乾燥させます。
スプレー現像 回転しているウエハにスプレーを用い、現像液を吹き付けて行う現像の手法です。スプレーノズルより現像液がミスト状で供給されることから、現像液の温度制御が難しいという難点を持ちます。その後はリンスを行い、パドル現像同様、スピン感想を行います。

 

現像装置

よくあるデベロッパ(現像装置)について見ていきましょう。基本的には、ノズルから現像液を滴下し、ウエハを回転させて全体に広げ、レジストを除去するという処理の流れになっています。スピンコータと似た構造になっており、露光装置と現像装置が一体化しているケースもあります。

 

  • 現像液の滴下
    レジストを溶解するための薬液を滴下する。ネガ型では有機溶剤が、ポジ型ではアルカリ現像液が用いられる

  • ウエハの回転
    ウエハを回転させて、現像液をウエハ全体に均一に広げていく
    ※ウエハの回転ではなくスプレーを使ったりスリットを使ったりして全面に現像液をかける手法もある

  • レジストの溶解
    しばらく現像液がついた状態を維持し、レジストを溶解させる。静置させるケースと低速回転させるケースがある

  • 現像液の除去
    ウエハを高速回転させて現像液を飛ばす

以上の手順でレジストを融かすことはできるのですが、現像液をきれいに取り除く必要があります。遠心力を使って大半は飛ばすことができますが、その後リンス工程でよりきれいに取り除きます。そのため現像装置には、現像液用のノズルとは別にリンス液用のノズルが通常付いています。リンス液用のノズルからは純水が滴下されます。これまで同様、ウエハを回転させながら洗浄を進めていきます。

 

まとめ

回路パターン転写後のレジストを溶解する「現像」について解説しました。現像の手法にはいくつかのパターンがありますが、いずれもウエハ上に現像液をかけてレジストを融かし、その後リンスを行うという工程に違いはありません。


そして共通して重要なのはウエハ全面で均一に現像を進めるということです。滴下の仕方や現像分布によってばらつきが生じるおそれがありますし、現像液にウエハを浸す手法では現像液の循環や交換などを行って常に同じ状態が維持されるような工夫を施す必要があります。

 

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