半導体エンジニアの仕事、労働環境について紹介
半導体エンジニアは世界中でニーズのある人材です。様々な企業が人材育成に力を入れていますし、高い技術力を持つエンジニアであれば世界のトップ企業で働くことも叶うかもしれません。そこでこの記事では半導体エンジニアに着目し、どのような仕事をしているのか、どのような労働環境・待遇で働いているのか、といったことに言及していきます。
半導体エンジニアはどんなことをしているのか
「半導体エンジニア」といっても実際にはいろんな種類の仕事があります。製造工程の設計から開発、評価などを行うエンジニアもいれば、デバイス設計に特化したエンジニア、回路やロジック、システム面に特化したエンジニアなどもいます。
特に製造工程に関わる狭義の半導体エンジニアということで説明をすると、主に「製造プロセスの見直し」「製造工程に係る研究開発」、そして「製造に係るコストの削減」を行っていると言えます。また「原料の決定・評価」や「設備の仕様作成」なども仕事の一部です。
製造工程の設計・評価等を行う
製造プロセスの見直しにおいて、不具合のチェックは重要なポイントです。不具合が見つかったときは原因を追究し、状況に応じた条件の変更などを行わなければなりません。不具合とは別に、新たな製品を量産する計画があるときは、新製品向けに変更すべき工程の検討なども行います。その際、条件変更等の調整をするだけでは不十分なケースだと新技術の研究開発を実施することになります。
研究開発まで担うエンジニアの場合、相当に知識とノウハウを持っていなければなりませんし、新たな技術に関わる論文等の調査もできる人材でなければなりません。なお、半導体製造の工程は数百にも上ります。1人のエンジニアが製造工程すべての技術を高めるのではなく、要素技術別に専門のエンジニアがおり、それぞれがその技術を持ち寄って製造工程の設計や開発、評価を進めていきます。
半導体エンジニアの労働環境
具体的な労働環境は勤め先の企業によって異なりますが、よくあるのは半導体メーカーあるいは半導体製造装置メーカーの工場で勤務するというケースです。ただ、製造のラインで働く場合のように3交代制、2交代制とはならず、多くは週休2日制での勤務となっています。企業によってはフレックスタイム制が取り入れられていることもあります。
なお、製造現場ではチリやホコリが舞うだけで不良要因となってしまいますので、クリーンルームの中で作業は進みます。エンジニアが現場に入るのも、クリーン度に配慮して白衣・マスク・帽子・手袋を着用し、エアシャワーを浴びてからとなります。さらに、品質管理の観点からクリーンルーム内は温度・湿度も一定に保たれています。
平均的な待遇
厚生労働省で公表されているデータによると、半導体エンジニアの年収は600万円ほどと示されています。ハローワークの求人データからは月収約30万円であると示されています。都道府県や年齢、勤続年数、そして当然ながらどの企業に就職するかで大きく変わってきますし、ボーナスの有無・程度も年収を左右するポイントになってきます。
就業形態はほとんどが正社員です。アルバイトや派遣社員、契約社員として働く半導体エンジニアの割合はごくわずかです。半導体製造の現場で働く従業員と比べても正社員の割合はより高くなっています。
半導体エンジニアとして働くためのステップ
半導体エンジニアとして働くために資格は必要ではありません。学歴なども限定されているわけではありません。ただ、就職にあたって各社が「大卒」「院卒」「高専卒」などと学歴の条件を設けているケースが多いです。そのため半導体エンジニアとして働くには少なくとも高専か大学を卒業しておくことが望ましいでしょう。研究開発に携わるのであれば修士課程・博士課程をクリアしていることが要件とされることがありますし、専攻分野も重要となります。
例えば電気電子や機械工学、化学、物理学などの出身者がメインになってくるでしょう。あるいはすでにどこかの半導体メーカーでエンジニアとして働いた経験があるのなら、中途採用という道も挙げられます。入社後も半導体エンジニアとして一人前になるまでは長い道のりになると考えられます。その間、業務を通して最先端の技術・ノウハウを身につけつつ、自主的に学習を進めていくことも必要になってくるでしょう。
また、最新技術に関しては海外からの情報も取り入れなければなりませんので、英語で記載されている文献や論文を読み解く力も必要です。英語でコミュニケーショを取る場面もやってくるかもしれません。
まとめ
半導体エンジニア、とりわけプロセスに関わるエンジニアについてここで概要を説明しました。スキルがあれば世界で重宝される存在になることができますし、先端技術に触れることもできるようになるでしょう。
AIやビッグデータ、IoTなど情報通信関連の発展が近年目立ちますが、その技術を支える基礎になっているのが半導体ですし、今後も半導体エンジニアのニーズは増していくことでしょう。
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