半導体の製造現場での仕事、労働環境について紹介

2022.10.31(Mon)

半導体

半導体の製造現場での仕事、労働環境について紹介

半導体製造に関わる仕事として、研究開発をしている人もいればデバイスの設計、製造工程の設計・評価をしている人など、色んな人がいます。そして当然、実際に工場で製造を行う現場もあり、そこで働いている人もいます。この記事ではこの半導体製造現場で働く人に着目し、現場での仕事内容や労働環境等を紹介していきます。

半導体製造現場ではどんなことをしているのか

現場では、設備の監視、装置・機械の操作などを行い、半導体を製造していきます。半導体を量産する工程の多くは自動化が進んでいることから、装置等の操作や監視が主な仕事となっています。

基本的にはマニュアルに沿う形で行い、マニュアルで対応できる問題にはその場で対応しつつ、大きな問題が生じたときにはエンジニアに報告して対応をしてもらうことになります。その他、必要な部品などの運搬、完成した製品の検査なども半導体製造現場で働く人の仕事に含まれます。

前工程と後工程で作業内容は異なる

製造現場といっても具体的な内容は「前工程」なのか「後工程」なのかによって異なります。前工程は「ウエハ処理工程」とも呼ばれ、主にウエハ表面に電気回路を作る工程となります。

単結晶棒からシリコンウエハへと加工。CVD法によりウエハ上に薄膜を形成。さらにウエハを高速回転させつつ表面に感光材であるフォトレジストを塗布し、回路を描いたマスクを使い露光機で転写。プラズマエッチング装置により削って配線の形に加工。最後に不要なものを排除したり研磨して平坦にしたりして回路ができあがっていきます。

前工程では多様な装置を使い、多様な加工を施していくことになります。また、回路ができあがった後は、電気特性の検査もしなければなりません。これらを経て後工程へと進みます。

後工程は「組み立て工程」とも呼ばれます。まずはウエハからチップを切り出し、そのチップを回路基板に固定。チップとリード線を接続し、セラミックなどのケースに固定。製品番号等のマーキングを行った後、さらに電気特性の検査、外観検査なども行い、試験をクリアしたものをパッケージ化。こうしてようやく製品として完成するのです。

半導体製造現場の労働環境

半導体製造の現場では、小さなほこりやごみでも大きな問題となり得ます。そこでクリーンルームに入って作業を行うことが多いです。またクリーンルームに入る際には作業者自身のクリーン度も高くなければなりませんので、クリーンスーツを着用するなどの準備をしてからでなくては入室することができません。例えば帽子・マスク・手袋の着用。靴の履き替え。エアシャワーも浴びて付着しているごみを取り除きます。さらにクリーンルーム内は温度・湿度も厳格に管理され、常に一定の状態を維持することで品質管理が行われています。

24時間で稼働させるケースが多いため、その場合は工場内で働く人は8時間勤務で3交代制となるか、あるいは12時間勤務で2交替制となります。ローテーションでシフトを組み、決まった曜日で週休2日となるのではなくシフトの調整により休日を設定していくこととなります。

平均的な待遇

厚生労働省で公表されているデータによると、半導体製造現場で働く人の年収は平均して400万円ほどと示されています。また、ハローワークの求人データからは月収約20万円であると示されています。

どの企業で働くのか、勤続年数や年齢、経験の有無、そしてボーナスの有無や程度も年収および月収を左右するポイントとなります。就業形態として多いのは正社員ですが、アルバイトや派遣社員、契約社員などの非正規雇用で働く人も2割ほどいるようです。

半導体製造の現場で働くためのステップ

半導体製造現場で働くために取得が必要な資格や学歴などはありません。高校を卒業してすぐ入職するケースも少なくなく、学校でどのような学問を専攻していたのか、どのような研究をしていたのか、といったことも問われません。実際、5割ほどは高卒で、大卒は4割ほどにとどまります。

ほぼ大卒・院卒以上が占めている、設計や開発などを行う半導体エンジニアと比較しても比較的ハードルは低いと言えるでしょう。未経験であっても、入職後行われる研修により装置や設備の操作手順を理解することで現場のオペレーションは可能となります。そのため入社前の経歴よりもOJTによる教育、現場での経験がより活きてくる職場と言えます。

ただ、関連する資格を持っておくことで就職活動を有利にすることはできるでしょう。例えば「半導体製品製造技能士」などが挙げられます。