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フッ素樹脂の健康と環境への影響|安全性や適切な使用・製造・廃棄の方法など

フッ素樹脂は、耐薬品性・耐熱性・絶縁性など、優れた性質を兼ね備えていることから幅広い用途で利用されています。具体的には電子機器・通信機器・医療機器・航空宇宙産業・建築、他にもいろんな分野で用いられています。しかし、健康や環境への影響が完全にゼロということでもありません。使用中、製造過程、廃棄において問題が生じることもあるのです。

そこで当記事では、フッ素樹脂と人体、環境への影響について言及していきます。

 

フッ素樹脂の健康への影響

フッ素樹脂は健康に悪影響を及ぼすのか、この点を整理していきます。

 

フッ素樹脂は化学的に安定で安全性は高い

まず理解しておきたいのは、基本的にフッ素樹脂は安全性の高い物質であるということです。化学的に不活性ですし、耐熱性も高いです。容易に溶けて有害物質を放出するようなこともありません。そのため適切に使用すれば人体に悪影響が及ぶこともほとんどありません。

例えば食品容器、調理器具などでフッ素樹脂が使われることもあります。フッ素樹脂の非粘着性や耐熱性の高さを活かした応用方法の1つです。食材と触れることになりますので健康に害が及ぶ物質ではいけません。安全性については十分に検証されており、適切な使用方法に従えば心配をする必要はないでしょう。

 

過度な加熱は避ける

想定される使い方をする限りほぼ問題はありませんが、過度な加熱、不適切な使用をすることで人体に影響が及ぶ可能性があります。過度な加熱等によりフッ素樹脂が分解され、有毒なガスや化学物質が発生する可能性があるためです。

例えば、テフロン(PTFE)の融点は300℃を超えており、高い耐熱性を持つことで知られていますが、融点を超えると分解し始めて、さらに温度を高めていくと有害ガスが発生するおそれがあります。そのガスを吸入したり食品に混入したりすると、健康にも悪影響が及ぶかもしれません。分解生成物によっては呼吸器や消化器に刺激を与え、頭痛・嘔吐などの原因となり得ます。長期的にその影響を受け続けると、肝臓や腎臓にもダメージを与えることがあります。

 

フッ素樹脂の環境への影響

フッ素樹脂は前項で説明したように、限られたシチュエーションではありますが、人体に影響を及ぼす可能性を秘めています。また、製造過程では人体のみならず環境に影響を及ぶ可能性もあります。

 

フッ素樹脂の廃棄について

フッ素樹脂は高温下で有毒ガスを発生することがあるため、焼却により環境に悪影響が及ぶ可能性があります。その一方、フッ素樹脂自体は化学的に不活性であることが知られており、埋設処分しても分解されて有毒物質を排出しません。そこでフッ素樹脂製品の廃棄物は、焼却ではなく、各自治体の廃棄物処理ルールに従い埋設廃棄物として扱うことがあります。なお、充填物が入っていたり毒物・劇物と触れる環境下で使用されていたりしたものについては処分法が異なるケースがありますので要注意です。

 

フッ素樹脂の製造について

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、フッ素化合物の1種です。フライパンのコーティングや撥水加工などの目的で使用されていたことがあります。しかしPFOAは環境中で分解されにくく、高い蓄積性を持ちます。そのため現在は国内外で製造・使用が規制されています。フッ素樹脂自体に問題がなくても、PFOAのように製造過程で生まれる物質が規制されていることもありますので留意しなくてはなりません。

 また、「エネルギー消費」「排出ガス」という別の観点からも環境への配慮が求められます。フッ素樹脂を製造過程で大量のエネルギーが消費されることがありますし、そのエネルギー消費に伴って二酸化炭素や窒素酸化物といった温室効果ガスが多く放出されることもあります。場合によっては大気汚染を生じさせる物質が排出されるかもしれません。そのため一企業の生産性のみに着目するのでは不十分で、近年は環境に配慮した製造方法を採用していることが企業価値を生む1つの要因にもなっています。

 

フッ素樹脂に関する規制や指針

フッ素化合物、その他フッ素樹脂の製造に係る各種規制・指針があります。グローバル化が進む昨今では、海外の法規制にも目を向ける必要があるでしょう。

例えばEUの「RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令」があります。フッ素樹脂そのものを規制する指令ではありませんが、電気電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限する内容となっています。製品開発にあたり規制対象の物質が含まれていないかどうか、配慮する必要があります。

また、EUでは、食品接触材料に関する規制もあります。食品に直接触れる素材や製品について、一定の安全性を満たすことを求めています。フッ素樹脂コーティングは調理器具にも利用されていますので、人体への影響を最小限に抑えることを考える必要があります。

 

まとめ

フッ素樹脂は基本的に安全な材料です。しかし誤った使い方、製造、廃棄をすることで人体および環境に悪影響を与える可能性もゼロではありません。フッ素樹脂に限らず、使用方法には注意を払い、事業者、一般消費者ともに安全な使い方を心掛けるようにしなくてはなりません。

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