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フッ素樹脂の3つの形態|ディスパージョン・粒状・粉体について

多くの産業、日常生活においてフッ素樹脂は利用されています。このフッ素樹脂という素材は、高い耐熱性や耐薬品性、そして非粘着性といった優れた特性を持つことで知られています。しかし、この素材は一つの形態だけで存在するわけではありません。「ディスパージョン」「粒状」「粉体」という3つの異なる形態があります。この形態の違いはどのような意味を持つのでしょうか。フッ素樹脂のこれら3つの形態の特性、それぞれがどのような場面や産業で使われているのかをここで紹介していきます。

フッ素樹脂の3つの形態(フォーム)について

フッ素樹脂は、その形態によって次の3つに分けることができます。

3つの形態について

ディスパージョン
(dispersion)

1つ以上の成分が別の媒体の中で均一に分散している状態を指す。

粒状
(りゅうじょう)

粒子や顆粒の形状になった固体のこと。一つひとつの粒子は目に見える(mm~cm程度)の大きさであることが多い。

粉体
(ふんたい)

固体が非常に微細な粒になった状態を指す。粒子一つひとつは目に見えない(~μm程度)大きさであることが多い。

これらの状態は、製造工程や利用方法、保存状態などによって異なる特性や取り扱いが必要となります。

ディスパージョンの特徴や用途

一般的にもディスパージョンは塗料やコーティング剤、接着剤などとして多様な用途で活用されています。フッ素樹脂のディスパージョンも各社が製品を開発して世に送り出しています。例えばPTFEを微粒子状にして、それを水に分散させて乳白色の液体とした「Fluon® PTFE ディスパージョン」などがあります。

ディスパージョンとして使用することで、フッ素樹脂の優れ得た性能は維持しつつ、粘度が低いことから塗布やコーティングが容易になるという利点が得られます。例えば金属やガラスクロスに対するコーティング剤、他の樹脂への添加剤などとして活用することがあります。

ただし同じディスパージョン製品でもやはりグレードは様々で、その性能を画一的に説明することは難しいです。例えば一般汎用品としてのフッ素樹脂製品から粘度や界面活性剤濃度を下げて金属コーティング向けに改良したもの、逆に界面活性剤濃度を上げることでガラスクロスコーティングに適した形に改良したものなどもあります。

粒状の特徴や用途 

粒状の物質は混練や成形が容易で、シール材やパッキン、フィルム、成形品など幅広く使用されています。フッ素樹脂でも粒状に加工されたものが広く市場に出ており、多様な業界で使用されています。粒状であることにより、押出し成形などの加工プロセスでも樹脂が均一に溶けやすく、製品の品質も安定させやすいです。

ディスパージョンや粉体よりも広く活用されている形態であり、シール材やパッキンに使用されて耐熱性や耐摩耗性を向上させたり、フィルムや成形品、食品や医療用途などにも使用されたりします。ただし、粒状のものに関してもやはり製品によって詳細な機能性には違いがありますので、製品によって最低な用途は異なります。

粉体の特徴や用途

固体の材料を粉末状に加工したものが粉体と呼ばれますが、前項の粒状のように粉体は一粒ごとにはっきりと視認でき、手に取れるようなものではありません。通常、μmレベルの粒子が集まって構成されています。粒が小さく集合体になったときに粒々というより液体のように見えることもあるようです。

基本的には、固体を粉砕して生成することが多いですが、液体に溶けた成分をろ過する形で取り出したり、溶液を温めてガスとして噴出し、これを急冷することで粉体を取り出したり、同じ粉体でも様々な生成方法があります。ただし生成方法により粒子として取り出せるものの形状が異なります。均一に生成できたり不均一になったり、丸い形状として取り出せることもあります。

粉末であり分散しやすいことから塗料、コーティング剤、加工など、幅広い用途で使用されています。粉体のフッ素樹脂をシール材やパッキンに添加したり、その他フッ素樹脂の性能を活かしたい場面でこれを添加したりして、耐熱性や耐摩耗性、耐薬品性、耐候性を向上させています。

形態別に見たフッ素樹脂の市場

フッ素樹脂市場を、この3つの形態の違いから見てみましょう。

特にニーズがあるのは「粒状」といわれており、この形態が7割ほどのシェアを占めるとされています。粒状のフッ素樹脂は多岐にわたる産業や製品での利用が見られ、市場の主要な部分を占めると考えられます。ディスパージョンや粉体については特定の用途で使われたり、応用を必要としたりすることもあり、比較的市場全体の小さい部分を占めています。しかし粉体などについても成長率が高いため、今後はシェアにも変動が起こる可能性はあるでしょう。

まとめ

フッ素樹脂は優れた性質を持つことから多岐にわたる産業や用途で利用されています。そして特定のニーズを満たすために適した形態として「ディスパージョン」「粒状」「粉体」が登場し、それぞれの形態での製品が開発されています。

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