科創板とは?中国の新たな株式市場の概要や開設の背景、経済への影響を解説
中国政府が主導し、新たな株式市場として「科創板」が登場しました。上海証券取引所(SSE)に開設され、次世代のハイテク企業が資金調達をする手段として注目を集めています。この記事では科創板について言及し、概要、そして「科創板はなぜ開設されたのか」「経済にどのような影響を与えるのか」といった話題についても触れていきます。
科創板とは?
科創板は、上海証券取引所(SSE)に開設された新しい株式市場です。「科学技術」+「創新(イノベーション)」を主とした証券取引の場であるため、「科創板」という名称に付されています。また、「SSE STAR Market」と表記されることもあります。
なお、ここでいう科学技術とは、通信、半導体、医療設備、新素材などを広く含んでいます。バイオテクノロジーから新素材、人工知能などの新興産業についても今後市場を拡大していくため、成長過程にある企業の誘致もできるようになっています。半導体関連のメーカーのみならず、幅広いハイテク企業にとって科創板は大きな意味を持つでしょう。現在、中国は世界的なイノベーションを牽引することを目指し、大規模な投資を行い、様々な研究開発に取り組んでいます。科創板」は、そんな活動の基盤になる市場として注目を集めています。
科創板登場の背景
科創板開設の目的は、ハイテク企業の発展を促し、中国全体の技術力、経済力を高めることにあります。また、外国資本市場に対する依存度を下げるという目的も持っています。中国の有力な半導体企業はアメリカから規制をかけられており、輸出入の面で苦慮しているという現状があります。そのため、中国は先端半導体に関する部材等の調達が難しくなっており、国内での強力なサプライチェーンを構築する必要に迫られています。
そこで、すでに中央政府が多様な取り組み内容を公表しています。中央政府による企業への税制優遇、その他地方政府による各種措置が設けられ、半導体にかかわる事業を行う企業が国内で活動しやすい環境が構築されつつあるのです。科創板も国内市場の発展に寄与する仕組みとして機能しています。今後さらに発展していけば、中国国内からの資金調達も行いやすくなりますし、中国国内の企業間の繋がりもより強固にしていくことが可能となるでしょう。
科創板への上場要件について
科創板は、上場要件が緩やかである点に特色があります。より中国でのイノベーションを促進すること、新たな高成長産業の発展を促すことを狙いとし、これまでの上場要件よりも緩めています。
例えばSSEだと収益性および売上高の大きさが上場の判断における大きな指標となっています。高い市場価値を持ち、一定期間以上の継続的運営が必要になるなど、上場するにあたりこれまでの実績が重視されています。しかし科創板では、時価総額が10億元以上という基本的な要件はあるものの、その他重視するポイントとして「技術力」や「イノベーションの質」などが挙げられます。そのため、まだ実績や収益性が十分とはいえない新興企業や成長途中の企業であっても、上場の可能性が開かれています。
科創板の登場による経済への影響
科創板は、中国経済、そして世界市場に対しても影響を与えうる存在といわれています。中国のハイテク企業が科創板に多く参入することで、技術革新が促進され、中国経済の成長が進むと期待されています。スタートアップに近い段階からの上場を許容することで中国のイノベーションが促進されることでしょう。
中国経済が革新を遂げれば、海外資本市場への依存度を下げる方向にも寄与するでしょう。世界の主要な証券取引所に比べるとまだ規模は小さいものの、長期的にはよりその存在感を高めていく可能性があります。海外の投資家が高成長を遂げる中国企業に対し投資をしたいと考えるようになるかもしれませんし、結果的に世界経済に対してもプラスの影響を与えることになるかもしれません。
科創板の今後の展望について
科創板は、ここ数年で登場した新しいマーケットですが、短期間で大きく成長を遂げています。数百億~数千億人民元の調達見込みがあるなど今後の展望も明く、さらに拡大、成長していくことでしょう。
科創板の規模が大きくなっていくことでハイテク企業のスタートアップからイノベーションも促進されます。その影響を受けて、中国が独自の技術を確立すること、半導体等の自給自足が進むと期待されています。ただ、その一方で懸念事項がないわけでもありません。科創板に対する規制、上場企業の株価、その他様々な要因が大きく変動するリスクも秘めています。
まとめ
科創板により多くのハイテク企業が参入し、新興企業が伸びていくことで、中国経済の成長と技術革新が起こると期待されています。科創板は海外メーカーとも競争できる有力なプレーヤーを生み出し、中国の長期的な発展に貢献する可能性を持っています。
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