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半導体製造装置の性能は何で決まる?良質な製品製造と効率的な生産活動のために求められること

半導体はデジタル社会を成り立たせる上では欠かすことのできない存在であり、その性能の向上により私たちの生活も様々な恩恵を受けます。さらにその裏には「半導体の製造」という過程があり、製造過程がより効率的・良質になることで半導体業界およびその関連業界は広く恩恵を受けることになります。

そこでこの記事では、半導体の製造装置に着目し半導体製造装置の性能はどこで計るのかを解説していきます。装置としての性能が良い、と評価されるために重視されるポイントを挙げていきます。

 

半導体製造装置の技術開発は国策としても進められている

「半導体製造装置の性能は高いほど良い」ということは言うまでもありませんが、特に近年は半導体に関する競争が世界的に激化しており、国内産業基盤の強化の重要性はこれまで以上に高まっています。

2021年には、政府から「半導体戦略」(https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210604008/20210603008-4.pdf)の内容が公表され、その中でもこの点触れられています。

 

例えば対応策の1つである「国内産業基盤の強靱化」にて、半導体技術のグリーンイノベーション促進が重要である旨示されています。その主な取り組み内容として「半導体製造装置等の革新的技術開発」が挙げられ、エッチングやリソグラフィ等の性能向上に資する半導体製造装置が着目されています。以下では半導体製造装置一般に求められる性能を見ていきましょう。

 

半導体製造装置で重視される性能

着目する装置によって求められる具体的な性能は異なりますが、一般的に重要とされる性能にはプロセス性能スループットの大きさ」「メンテナンス性の高さ」「フットプリントの小ささなどがあります。

 

プロセス性能

プロセス性能としては特にウエハー内の均一性、ウエハー間あるいはロット間の再現性などが重要です。また、「エッジ・イクスクルージョン(edge exclusion)域の小ささ」も非常に重要です。

 エッジ・イクスクルージョン域は、ウエハー外周部にあたり、寸法のバラツキや欠け・割れなどの可能性が高い領域です。薄膜の均一性にも問題が生じ得ますし、ハンドリング時の機械的な力によって微細な粒子を発生させてしまうおそれもある領域です。そのためエッジ・イクスクルージョンの範囲は小さいほど良いとされ、この領域が小さいほどプロセスの結果は保証されるということになります。また、エッジ・イクスクルージョン域が小さい方が多くのチップが取れるようになります。

 

スループットの大きさ

スループット(throughput)とは、プロセスを実行している時間当たりのウエハー処理枚数のことです。例えば1時間に100枚のウエハーが処理できるのなら、スループットは100枚です。よって、単純に考えれば、スループットが向上する装置の方が良い性能であると評価できます。

 

メンテナンス性の高さ

非常に高性能で稼働時の効率が非常に高くても、故障しやすかったりメンテナンスに時間がかかってしまったりしたのではその良さを活かしきれません。そこで高いメンテナンス性を持ち、日常的なメンテナンスを効率的に行うことができる装置の方が優れていると言えます。消耗部品の交換などにも時間がかからないようにし、高い稼働率を持つ装置かどうかにも着目する必要があります。

 

フットプリントの小ささ

フットプリントとは、装置が占有する面積のことです。同じ性能であれば、小型であるほうが扱いやすいですし、必要な施設の大きさも変わってきます。

例えばクリーンルームだと室内の異物が一定以下になるよう維持しなければならず、大きなランニングコストが発生します。このクリーンルーム内に配置する装置が大きいとその分大きな部屋・施設が必要になり、ランニングコストも大きくなってしまいます。そのため各装置、その他関連する設備を設ける時にはフットプリントを考慮しなければなりません。

 

その他重要な性能

クリーンルームには大きなランニングコストが発生しますので、そのコストを下げるための「ミニエンバイロメント(mini-environment)対応」ができるかどうかも重要です。ミニエンバイロメントは局所クリーンとも呼ばれ、必要最小限でクリーン度を維持しようとする考え方のことです。これまでは室内すべてのクリーン度を高めるためのダウンフロー方式が主に採用されていましたが、このミニエンバイロメント方式への移行も進んでおり、この対応可否は製造装置の性能を測る1つの指標となり得ます。

 

また、ウエハー搬送システム「CIM機能」も重要です。

ウエハー搬送システムでは、自動ハンドリングにおける破損リスクの小ささや効率の高さが重視されます。CIMComputer Integrated Manufacturing)は、生産活動の制御や管理を図るシステムの総称で、欠陥制御、工程管理などのシステムを含みます。CIMソリューションは様々なベンダーから提供されていますので、その他装置との兼ね合いも考慮し、自社に合ったCIMの選択をすることが大切です。

 

まとめ

半導体製造装置の性能を決める代表的なものを挙げて紹介しました。エッジ・イクスクルージョン域が小さく多くのチップが取れるもの、スループットは大きく、さらにメンテナンス性の良さにより高い稼働率が維持できるもの、またフットプリントの小ささといった視点も重要です。このように、半導体製造装置を評価する上では多角的な見方をすることが必要です。

 

 

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