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クリーンルーム内で行われていることとは?半導体製造におけるクリーンルームの必要性や課題について

食品や医療、その他高度な洗浄度が求められる現場はたくさんあります。半導体製造の現場もその1つで、クリーンルームの設置が必要とされている分野です。この記事ではこのクリーンルームについて、簡単に必要性を説明した上でその仕組み等を解説していきます。

 

クリーンルームが半導体製造でなぜ重要か

空気洗浄度が一定以上になった部屋をクリーンルーム(防塵室)と呼びます。満たすべき洗浄度に関しては何を扱うのかによって異なりますので、食品産業や医療、生命科学、半導体などの電子工学、それぞれでクリーンルームの態様は違います。

クリーンルームはゴミが混入することが特に問題視される分野で必要とされるのですが、ここで言うゴミとは非常に小さな粒子のことです。パーティクル」と呼ばれ、人間の目に見えないレベルの小ささであっても、微細化が進んだ半導体デバイスにとっては大きな異物です。これにより品質低下が起こりますので、空気中の浮遊微小粒子を一定以下にまで下げなければなりません。そのため、クリーンルーム内に設置する製造装置に関しても注意を向けなければなりません。室内の装置自体がパーティクルの発生源にならないよう、外装の塗料などにも配慮することになります。

 

クリーンルームで求められること

クリーンルームの環境維持に必要な基本事項は以下です。

  1. 異物を持ち込まないこと
  2. 異物を発生させないこと
  3. 異物を堆積させないこと
  4. 異物を排除すること

    異物を持ち込まないためには、室内に入る人や装置すべてに事前の洗浄が必要です。エアシャワーを浴び、付着している異物がないようにします。異物の堆積を防ぐには、清掃をすることはもちろん、清掃がしやすいよう凹凸のない構造であることも大切です。

    また、少量の異物は発生してしまいますので、発塵箇所付近で排気ができる仕組みを作り、その上でクリーンルーム内全体の気流の邪魔にならないような構造であることが大切です。半導体製造においては、特に前工程はファブの高いクリーン度が求められます。

     

    クリーンルームの仕組み

    クリーンルーム内では、よく壁面の床付近に排気路を設け、室内の空気を室外に押し流すという構造が見られます。クリーンルーム内を室外より高い圧力で保ち、外部からの空気が入らないようにしています。コンベンショナル方式と呼ばれる方式で、クリーンルームの構築にかかるコストが比較的小さくて済む、管理がしやすい、乱気流、といった特徴を持ちます。

     

    一方半導体製造の現場ではダウンフロー方式が多く採用されています。効果的で管理も比較的楽、しかしながらコスト高であり、天井や床にダクトを設置しなければならず建築にあたっての制限がある、という特徴を持ちます。コンベンショナル方式では気流が乱気流であったのに対し、こちらは垂直層流、一方向にのみ空気が流れます。 他にも、規模問わず対応しやすく、洗浄度性能の大きな向上が期待できる「クリーントンネル方式」というものもあります。いずれにしろ、クリーンルームの仕組みを理解する上では気流の理解が大切です。

     

    クリーンルームの課題

    クリーンルームは品質の維持のために欠かせませんが、洗浄度を維持・向上するには大きなランニングコストが発生してしまいます。換気回数が多いですし、電力の消耗が激しいからです。実際、クリーンルーム全体のランニングコストのうち50%ほどは電力に要しているとされ、さらにその電力の内訳は、生産設備の稼働よりも空調にかかっていると言われています。

    そのためクリーンルームの維持に大きなコストがかかるという点が課題とされています。また、近年はコストの観点のみならず省エネを目指すという意味でもエネルギー消費量を削減する必要性が高まっています。季節によっては冷熱源機器の運用の見直しが必要ですが、特に、定常的に使用する空調ファンへの配慮が重要になるでしょう。

     

    ミニエンバイロメントの利用

    ランニングコストの大きさ、消費エネルギーの大きさを是正するという観点から、ミニエンバイロメントの考え方が進んでいます。ミニエン」「局所クリーン化とも呼ばれ、クリーンルームをできるだけ必要最小限にとどめる考え方をいいます。

    重要なのはウエハー搬送時における大気への露出を防ぐことですので、その部分のみをクリーン化するのです。本当に必要な箇所のみに一定の洗浄度をクリアした空間を設けることができれば、大きなコストカット、省エネが期待できます。結果として半導体メーカーの利益を確保することにも寄与するでしょう。

     

    まとめ

    半導体の製造はクリーンな環境で行われる必要があります。各プロセス装置から装置への移動時にはウエハーの洗浄・乾燥を施していますし、半導体デバイスの微細化が進むほどそのハードルも高くなっていきます。

    しかし今後ミニエンバイロメントの流れが進みめば必要なコストも変わり、クリーンルーム在り方も変わってくるかもしれません。

     

     

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