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GaN(窒化ガリウム)とは?次世代半導体材料として注目される理由を解説

 

CO2などの温室効果ガスの排出が原因で急速な気候変動が生じています。国際的にカーボンニュートラルへの取り組みが始まっており、日本でもパワー半導体の高効率化・グリーン化が進められています。

そこで、ここではこのパワー半導体のうち、高効率化・グリーン化が期待されている次世代パワー半導体について触れ、その素材として注目されているGaN(窒化ガリウム)を紹介していきます。

GaN(窒化ガリウム)の特徴

世界の電力需要のうち、半分ほどはモーターによる電力です。そのためモーターの駆動に用いられるインバータの効率改善が社会全体の省エネにも大きく貢献します。そしてインバータにはパワー半導体が用いられていますので、電力消費を減らし、CO2の削減、ひいては地球温暖化対策のためにもパワー半導体の改良が欠かせません。

例えば、サーバーの消費電力のうち25%ほどはパワー半導体が使われている電源による損失ですし、HV自動車の電力損失でも20%ほどがパワー半導体によるものです。効率改善に向けては様々な手法が考えられますが、大きな効果を得るには素材から見直さなければなりません。現状、Si(シリコン)が主流とされていますが、昨今注目を集めているのがGaN(窒化ガリウム)SiC(シリコンカーバイド)です。 

Siに比べてこれらの素材はオン抵抗が小さく、耐圧や熱伝導に優れ、特にGaNは高速性に優れています。オン抵抗が小さいということは導通損失が小さいことを意味し、デバイスの高速性からスイッチングによる損失が小さいという利点も得られます。また容量が小さく充放電の損失が抑えられ、デバイスそのもののサイズも小さいことから回路基板での占有スペースも小さくて済みます。未だ十分に実用化が進んでいるとは言えませんが、今後に大きな期待が寄せられていることから次世代パワー半導体として研究開発が進められています。

   

各企業のみならず、政府もGaN等の次世代パワー半導体の研究開発・普及に向けて戦略を打ち立てており、支援をしていく見通しです。半導体・情報通信産業の成長戦略として、簡単にスケジュールも公開されています。例えば「超高効率次世代パワー半導体の研究開発」として、最先端SiやGaN、SiC等の研究開発は2021年から2030年にかけて行うと示されています。

また、「Siパワー半導体・次世代半導体の成果を用いた、応用可能な用途に係る技術の実証・実装・高度化」は2021年から2025年にかえて行うことも示され、応用可能な用途として電動車やデータセンター電源、LEDなどが例示されています。さらに長期的な視点では、他の施策も併せて2050年までに既存の半導体の置き換えを終了させるともあります。

 

GaNが活用される場面

すでにGaN等の開発は盛んに行われており、次世代パワー半導体も電車のモーター制御、サーバー電源、太陽光発電など一部の用途で実用化は始まっています。さらに2025年にはサーバー内電圧変換器として、2030年にはデータセンター向け電源への需要拡大も予想されています。 

その他GaNデバイスの特性が活かせる用途としては以下のようなものが挙げられます。

  • AV機器:薄型・大型の高精細TVには高効率な数百Wクラスの電源が必要で、GaN FET等が活かせられる
  • 照明:LED照明等のさらなる高効率化に向けて、GaN FETの採用が検討されている
  • USB-PD:USB-PD (USB Power Delivery)は、USBケーブルを用いたデバイス充電の規格の一つ。急速充電ができることに加え、多様な機器との接続ができるような複数の電圧の供給、小型であることなどが求められる。そこで高耐圧かつ高効率、高速でのスイッチングが可能なGaN FETが効果的

 

GaNデバイスの課題

GaNを用いたデバイスがSiデバイスほど普及していないのは、技術的な課題が残っているからです。単純に、これまでSiパワー半導体をGaNに置き換えれば良いというものではありません。GaNパワー半導体に適した設計技術が必要なのです。

特に電力変換・制御システムの搭載には設計の難易度が高く、この点、大きなハードルとなっています。例えばGaNパワー半導体は低損失・高速スイッチング・小型化という面で優れていますが、ゲート駆動電圧の閾値が低いという特性を持つことから、Siなどと比べてもノイズに弱いです。この欠点を補うように設計をしなければなりません。具体的には、基板配線パターンを短くしたり、インダクタンスを低減したり、コモンモード過渡耐圧の高い駆動用ICを選ぶといったことが必要です。

  

まとめ

パワー半導体による電力需要割合は大きいため、社会全体で大きな高効率化・省エネ化を図るには次世代パワー半導体の活用が欠かせません。この次世代型として採用し得る材料がGaN(窒化ガリウム)であり、従来のSi(シリコン)を使ったパワー半導体よりもオン抵抗の小ささ、耐圧、熱伝導、高速性に優れています。他にもSiC(シリコンカーバイド)など注目されている材料があり、それぞれに適した場面で採用が進んでいくことでしょう。

 

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