半導体材料市場の現在!世界の動向や主な材料について
半導体の製造は、その素となる“材料”がなければ何もできません。そのため半導体市場について広く理解を持つためには、半導体材料の市場についても知っておく必要があります。そこでこの記事では、まずこれまでの動向や現状について示し、その上で材料別の状況を整理していきます。
半導体材料市場も拡大傾向にある
半導体の需要が増し続けているため、半導体材料市場に関しても拡大傾向を示しています。特にその傾向が顕著に表れ始めたのは2017年頃です。2020年のセミコンジャパンの場における半導体材料市場の予測でも、2020年時点で約540億ドルの市場が、2021年には560億ドルを超え、2022年には約590億ドルにもなると示されています。
この市場の中心にいるのは台湾です。台湾には最大手の半導体メーカー「TSMC」がいます。その働きが大きく、国別で見た半導体材料市場のシェアも台湾は20%越えのトップです。次いで18%の中国、16%の韓国、14%の日本と続きます。つまりは、これらの地域でより多くの半導体材料が消費されているということです。
材料別に見るとシリコンウエハーがシェアトップ
半導体製造では、前工程でシリコンウエハー、フォトマスク、ガスなどが使われます。後工程ではパッケージングで使う樹脂などが半導体材料に該当します。その他様々な半導体材料がありますが、やはりトップのシェアを持つのはシリコンウエハーです。前工程においては4割近くを占め、他の材料に大きく差をつけています。
半導体材料別の市場動向
半導体材料別に、簡単に市場の動向を示していきます。
シリコンウエハーについて
上述の通り、シリコンウエハーは半導体材料の代表格です。2020年における世界の出荷面積は、東京ドーム約170個にも相当すると言われています。しかも前年比で5%増と、さらに増加傾向を示しています。なお、市場に出回る多くのシリコンウエハーは150mm、200mm、300mmです。近年は300mmが主流になっています。
フォトマスクについて
フォトマスクとは、ウエハー上に回路を転写するために使う原版のことです。リソグラフィーの工程で使用され、そのガラス版には回路パターンが描画されています。フォトマスクの市場は近年一方的な拡大傾向を示しており、半導体市場全体では2019年に縮小を見せたものの、フォトマスクに関しては右肩上がりを維持したのです。
こうした好調を支えているのは、“EUVマスク”です。EUVマスクとは、従来のリソグラフィーよりさらに微細加工を実現する「EUVリソグラフィー」に対応したフォトマスクです。従来の光リソグラフィーだけに着目すると市場規模は縮小傾向を示すのですが、EUVマスクの普及が進んだことにより、フォトマスク市場全体としては上向きになっています。
フォトレジストについて
フォトレジストとは、感光性を持った樹脂のことです。露光装置からの照射に反応して、ウエハー表面の回路パターン転写に一役買っています。そのため、上のフォトマスクと同じくリソグラフィーの工程で使われます。リソグラフィーに関わるものであるため、EUVの普及が進む影響をフォトレジストも受けます。そのためEUV用のフォトレジストを取り扱ってきたJSRや東京応化工業、信越化学工業などが大きなフォトレジストのシェアのほとんどを持っています。
化学薬品について
半導体製造では、洗浄工程を何度も挟みます。その際、ウェット化学薬品を使用します。エッチングの際にも使用されます。刺激の強いものも多く、過酸化水素・硫酸・アンモニアなどが使われる例も多いのですが、ウエハーのダメージを軽減するためであったり環境への配慮であったり、使用する材料の見直しも進められています。化学薬品全体の市場としては、他の分野ほど顕著ではないものの、緩やかな拡大傾向は示されています。大きな変動がないため、比較的安定した市場であるとも考えられます。
ガスについて
ドライ洗浄やドライエッチングを行う場合、ガスが使用されます。例えばドライ洗浄の場合には塩素が、ドライエッチングでは臭化水素やアルゴンなどが使われています。上の化学薬品の市場よりも規模が大きく、こちらも緩やかな拡大傾向を示しています。
ボンディングワイヤーについて
半導体のチップとリードフレームを接続するのが「ボンディングワイヤー」です。金や金合金、銀合金、銅、アルミニウムなどが主に使用されています。今後大きな成長率で市場が拡大すると見られており、数年後には15億ドルもの市場規模に達すると言われています。同分野に関しては、住友金属鉱山、MKエレクトロン、へレウスなどのメーカーが主要です。
まとめ
半導体を製造するまでには様々な材料が使用されます。シリコンはもちろん、ここで挙げた化学薬品やガス、その他モールド樹脂やセラミックパッケージ、基板なども重要な役割を担います。それぞれ成長率に差はあるものの、全体として拡大傾向を示している点で共通しています。
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