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3次元微細加工に注目が集まる!半導体の微細化限界を超えるためのテクノロジー

これまで、微細加工のレベルを上げていくことで半導体デバイスは大きく進化してきました。しかし、無限に微細化が進められるわけではありません。そこで微細化に頼った進化ではない、ポストムーアを推し進めるための新たな技術体系へのニーズが高まっています。

以下ではまず微細加工技術について言及し、そして今後に注目が集まる「3次元微細加工」に関して解説していきます。

 

微細加工技術は日常生活にも直結するテクノロジーである

一般の消費者が微細加工技術自体に着目することはあまりないでしょう。しかし現代における生活は微細加工技術によって支えられていると言っても過言ではありません。

例えば誰もが手にするようになっているスマホやその他の機器にはこの技術が欠かせません。その他プラットフォームや環境の構築に貢献をしていることから、直接手に触れるものでなくとも、間接的に微細加工技術の恩恵を誰もが受けていると言えます。 

また、近年はナノバイオテクノロジーの研究が世界的に進められ、新たながん治療やウイルス分析の手法が模索されています。こうした最先端のテクノロジーを実用化していく上でも、その基礎にある半導体の微細加工プロセスが重要なのです。

 

半導体微細化の限界を突破する方策

半導体チップに用いられる加工技術はトップダウン型(物体を削りながら構造を形成するタイプ)です。この技術で集積回路の微細化を進めてきましたが、微細化も限界近くに達しており、これまでのように性能向上を続けるのが難しい現状にあります。そこで、半導体に関しては、微細化の限界を突破するために以下のような方策が挙げられます。

  • 材料の見直し
  • 新たな計算原理・アーキテクチャを取り入れる
  • 3次元的な集積化を進める

  

「材料の見直し」に関しては、トポロジカル絶縁体などが注目されています。これまでの材料より優れた電子的特性を活かしてデバイスの高速化などを図るのです。

「新たな計算原理・アーキテクチャ」に関しては、量子コンピューティングの応用などが例として挙げられます。

「3次元的な集積化」に関しては、CMOSやフォトニックデバイスなど様々な機能のデバイスを3次元的に集積化しようというものです。

 

この他新たな露光技術など、様々な方策により微細化および集積化がしばらくは続くとされています。実際、微細化の限界と言われてからもその流れは未だ止まっておりません。

 

3次元」微細加工が開発トレンド

最先端の半導体プロセスでは、「セルフアライメント」「高アスペクト比」の実現が重要視されています。セルフアライメントとは「自己整合」のことであり、形成されたパターンを次のプロセスでも利用し、マスクの位置合わせなく次のプロセスを進めることを言います。またアスペクト比とは「深さ/幅」で表される、基板上のパターンの深さと幅の比を意味します。高アスペクト比が進むと加工は難しくなります。

なお、高アスペクト比が進むことで加工は難しくなり、洗浄に関しても課題が生じます。そこで、これを解決するための自己停止プロセスのニーズが高まると言われています。具体的には、ALDALEのニーズの高まりです。それぞれ成膜技術とエッチング技術のことなのですが、いずれも原子レベルでの技術であることに特色があります。そしてこのような原子レベルを扱う新たな微細加工技術ではボトムアップ(トップダウンとは逆に、各構成要素から全体の形態を構成していくこと)が中心となり、3次元微細加工プロセスによることとなります。

そのため3次元微細加工技術が将来の半導体技術を支える上で重要な研究領域と捉えられ、各国で開発が進められています。国内では大きな動きがないとされていますが、アメリカやヨーロッパ、韓国などではALD・ALEに関する開発が推進されています。

  

微細加工プロセスに関する国内の課題

10nmノード以降の微細加工プロセスについては海外の大きな半導体メーカーのみが有しており、日本は今後どのように微細加工技術の開発を進めるのかが大きな課題になっています。

日本も高い技術を持っていると言われていますが、生産に莫大な設備投資がかかるという理由から自社では設計のみを行い、製造をファウンドリに委託するという例は多いです。しかしながらこのような状況は重要な設計データが委託先に開示されるため、知的財産の保護という観点からはあまり好ましいことではありません。 

また、このような問題を解決するだけでなく、人材育成も欠かすことはできません。半導体分野を進路とする学生の減少を食い止めること、産学連携のスキーム構築、などが日本における人材育成および先端技術の発展にとって重要と考えられています。

 

まとめ

半導体の微細化は限界近くにまで進み、原子レベルにまで到達しています。微細化の限界を超える方策として様々な手法が検討されていますが、さらに性能向上を実現するためには3次元微細加工の技術水準を上げることも重要な課題とされています。海外ではこの分野への注目が集まっており、近年の開発トレンドにもなっています。

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