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配線工程(BEOL)とは?AlやCuなど材料別に金属膜を形成する流れを解説

製造された半導体素子は、互いを接続して電気信号のやり取りができる状態にしなければその性能を発揮できません。そこで半導体製造のプロセスでは「配線工程」も重要な役割を果たします。配線工程ではどのようなことを行っているのか、ここで解説します。

また、配線工程では使用する材料の選定も重要なポイントとなります。その材料によって素子としての機能や、製造技術なども変わってくるからです。この点についても言及していきます。

 

配線工程とは

多段階的な工程を経て形成された素子、回路が機能するには、外部から電気を供給される必要があります。そして素子内部で信号のやり取りを行う際にも電気的な接続がなければなりません。電気の供給、信号のやり取りができる状態に接続する工程を「配線工程」と呼びます。

単に物理的に接続するだけでなく、電気のやり取りを行うことが重要であるため、トランジスタなどの素子間の接続は金属により行われます。なお、この配線工程は「BEOL(Back End Of Line)」、あるいは省略して「バックエンド」と呼ばれることもあります。工程の詳細に着目すると、金属配線の形成や加工作業が主となるため、その意味で「メタライズ」と表現されることもあります。

※メタライズ:非金属の表面に金属層を形成し、表面を金属化させること

 

配線工程の基本的な流れ

半導体素子の配線工程では、アルミニウム(Al)がよく用いられていました。そこで配線工程の基本的な流れを、Alを例に簡単に説明していきます。まず押さえておきたいのは、“使用する配線材料によって作業内容が異なる”ということです。


例えばAlの場合、酸化膜との密着性や加工性の面で優れていますが、シリコン(Si)と接触させると微小なスケールで接合部が破壊されることがあります。そのような性質を備えているため、シリコンウエハとAlの間に別の金属を蒸着させる必要があります。これを「バリアメタル」と呼びます。このバリアメタルをした上で、Alによる配線工程を始めます。


なお、配線工程といってもAl線をはんだなどで直接繋げていくわけではありません。そもそも半導体素子が微小なスケールで製造されているため、配線工程に関しても相応に微小なスケールで進められます。そこで、Al線を繋ぐのではなく、Alの成膜を形成することから始めます。蒸着によりAlの膜を広げ、露光によりパターンを刻み、エッチングにより不要なAl膜を除去。そして配線保護のために酸化膜を形成する、という流れで工程が進むのです。

 

半導体素子の配線工程に適した素材

半導体素子の配線工程では金属が用いられます。しかしどんな金属でも良いわけではありません。一定の性質を備える、上述のAlや、Cuなどが主流の配線材料として使用されています。

 

材料に求められる性質

配線工程、ひいては半導体に使用する金属にとって重要とされるのは、次のような性質を備える材料です。

 

  • 電気抵抗が小さい
    回路には電気が流れるため、使用する材料の電気抵抗は低くなければならない。抵抗が大きいと発熱の原因にもなる

  • 安定している
    工程の最中、簡単に反応を起こしてしまい特性が変わることのないよう、安定した材料であることが求められる。細部においても破壊することのない耐久性も必要

  • 低コストで製造できる
    優れた材料でも、コストが高すぎると大量生産は現実的でなくなる。半導体素子を多く製造するためには性能とコストのバランスも求められる

 

配線材料1:アルミニウム(Al

すでに説明した通り、Alは従来配線工程の主流とされていた材料です。加工性などに優れており、大きなコストもかけることなく製造ができるためです。しかし主流とされているのは180nmノードまでの話です。微細化が進む現代においては配線遅延の影響が大きいことから、次項の「銅(Cu)」が主流となっています

 

配線材料2:銅(Cu

微細な回路で十分な電気特性を提供し、なおかつ低コストを維持する材料として、銅(Cu)が採用されています。銅の場合、①Alより3割ほど抵抗が小さい、②Alより局所的な発熱を抑えやすい、③Alより長期的な安定性が高い、という特徴を持っています。

ただ、Cuの性質上、Alと同様にエッチングを行うことが難しく、別の手法で配線工程を進める必要があります。そこで採用されている手法の1つが「ダマシン法」です。

ダマシン法では、絶縁膜に溝や穴を作り、その溝に金属膜を埋め込む形で配線を行います。二酸化ケイ素(SiO2)などエッチングが比較的容易な絶縁膜の層に溝を作り、電解めっきによりCuの膜を形成。その後不要な部分を研磨装置により削り取るのです。そうすると絶縁層の溝にあるCuだけが残り、配線ができます。

 

まとめ

半導体製造における配線工程は、細長い金属線をくっつけて接続するといった単純なものではありません。非常に微細なスケールであるため、いったん金属を蒸気の状態にし、薄い金属膜を形成する必要があるのです。ただ、AlCuなど、選択した配線材料によっても具体的手法は異なります。今後微細化がさらに進むことで新たな手法が必要になることも出てくるかもしれません。

 

 

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