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露光とは?半導体製造工程の基本と露光装置について

露光は、半導体デバイスを製造する上で必要な工程です。ウエハに回路パターンを転写するために必要であり、この露光を行うためには専用の露光装置も欠かせません。また、同じ露光を行う装置であってもその方式によりタイプが分かれます。性能もコストも製品によってまったく異なります。ここで露光や露光装置について解説をしていきますので、参考にしていただければと思います。

 

半導体製造工程における露光の意義

半導体製造工程における露光とは、回路のパターンが描画されたマスクに光を照射させ、そのパターンを転写することを指します。チップを作製する過程ですので「前工程」に該当します。露光を実施する前には、ウエハ上に回路の基となる薄膜の形成をし、その上にレジストコーティングを行います。レジストコーティングでは感光性を持つ薬液(レジスト)がウエハに塗布されます。さらにこの上に露光を行うことになります。

レジストには感光性があるため、マスクを通して光が照射されることで反応を起こし、次の「現像」「エッチング」の工程へと進んでいきます。こうして露光された部分あるいは露光されていない部分の薄膜表面を露出させるとともに不要な部分の削り出しを行います。なお、露光・現像・エッチングの工程をまとめて「リソグラフィ」と呼んだりもします。

 

露光装置の仕組み

露光装置の主な役割は“光の照射”です。そこで①光源②光学系③ステージ3点が主な構成要素となります。

①の光源は、回路をウエハに焼き付けていくためのレーザー光を発生させる装置です。回路の焼き付けには、光の性質上、短い波長であるほど微細な回路パターニングが実現できます。そこで一般的に利用されるような可視光域のレーザー光ではなく、露光では紫外線などが用いられいます。よくあるのはArFの波長193nmです。ですが、さらに小さな波長であるEUV13.5nmも主流になりつつあります。

②の光学系とは、光の反射や屈折を起こさせるためのレンズや反射鏡などのまとまりを指す言葉です。レーザー光を狙い通りに照射するため、レンズ等を使って光を縮小するなどの機構が必要です。そのため光学系も欠かすことはできません。

③のウエハステージは、ウエハの位置を固定・調整するためのものです。

 

露光装置の2つのタイプ

露光装置には2つのタイプがあります。

1つは「ステッパー」と呼ばれる、フォトマスク全面に光を照射するタイプです。装置が比較的安価で、ランニングコストも抑えられるなどのメリットを持ちます。一方、解像度が比較的低いというデメリットがあります。レンズは中心ほど歪みが小さいのですが、ステッパーではレンズを広く使うことになるため解像度が落ちてしまうのです。

これに対して「スキャナー」はレンズの中心部のみを利用します。レンズの歪みが小さい部分のみ利用するため、高い解像度で露光ができるのです。その分装置の価格は高くなってしまうのですが、最先端のデバイスではスキャナーが主流とされています。

 

露光では解像度の高さが重要

露光の解像度が高いほど、細かな回路パターンを刻むことが可能となります。そのため露光装置としては解像度が高いほど良いと言えます。露光においては、波長やプロセス係数、開口数がファクターである分解能Rが性能を表す指標となります。分解能との関係性は次の式の通りです。

 R=(プロセス係数)×(波長)/(開口数)

 

なお、解像度を高めるには分解能Rの値を小さくする必要があります。そこで上の式に当てはめて考えると、「プロセス係数が小さいほど」「波長が小さいほど」「開口数が大きいほど」、露光装置の性能は上がることになります。

プロセス係数には、レジストの性能やマルチパターニングにおける重ね合わせの誤差などが寄与してきますので、これらの改善を図ることで解像度は向上させられます。波長はすでに述べた通りで、使用する光源によって変動します。開口数はレンズの屈折率と入射角により定まる数値で、この数値が大きいほどRは小さくなり解像度は向上する関係に立っています。

 

精度の高い露光装置はコストも高い

当然のことながら、高精度の装置はコストも高くなります。露光装置は精密な機械であるためその傾向が顕著に表れます。特に波長の大きさで相場額は大きく異なります。ArFなどは数十億円、EUVにもなると数百億円を要するといわれています。そのため半導体メーカーにとって露光装置のコストは大きな負担となってきます。

ただ、半導体の性能アップは微細化のみで起こるものではありません。常に高性能な露光装置に頼るわけではなく、他のアプローチにより高性能が実現されることもあります。例えば平面の微細化以外にも、複数チップを使って立体化させることによる性能向上も期待されています。

 

まとめ

露光装置に関しては、非常に小さな波長が使えるEUVが最近よく注目を集めています。しかし社会に必要なのは微細なデバイスだけではありません。重要なのは用途に応じた露光装置ですし、また、量産を行う場合にはスループットも無視できません。スループットを高め、露光作業を高速で回していくことができれば、チップあたりの製造コストも下げられます。

いずれにしろ露光という工程をプロセスから省くことはできませんので、様々な側面から性能向上・コスト減などを図っていくことが今後も重要と言えるでしょう。

 

 

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