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中国が半導体企業発展のために実施している政策とは?税制優遇や補助金など

中国では、国務院の制定する産業政策に基づき、国務院に属する各部門、地方政府が詳細なルールを制定します。近年でいうと中国政府は半導体産業の推進を強く推しており、巨額の投資や企業に対する優遇措置などが設けられています。ここでその内容を簡単にまとめていきます。

 

中国政府による半導体企業への公的支援の概要

中国に限った話ではありませんが、半導体産業発展の重要性を鑑みて、半導体企業に対する支援や技術開発に向けた投資などを国策として行う例が増えてきています。中国においては資金面での支援、税制優遇や研究開発支援、インフラなど、幅広い支援体制を整えています。国と地方の双方から支援を行っており、その規模は金額にして2,000億元(国家IC産業ファンド第2期)です。これは日本円にして約4兆円にも上る値です。

日本で近年半導体産業に投じられたのは2,000億円程度であり、大きな差があることが読み取れます。また、規模の大きさだけでなく、支援の内容にも目を向ける必要があります。国家IC産業ファンド第1期では、半導体設計および製造に対する支援が大部分を占めていました。しかし第2期では、材料や製造装置に対する支援が加わっています。

中国は製造装置等の分野にあまり強くなく、同領域はアメリカや日本などが強みとしています。しかし半導体製造サプライチェーンの包括的な国産化を強化する必要に迫られ、半導体材料や半導体製造装置を含む幅広い分野への支援が強化されたのです。

 

中央政府による半導体企業への支援策

まずは中央政府による具体的な半導体企業への支援策を見ていきます。

 

企業所得税の優遇措置

1つは、企業所得税の優遇措置です。半導体業界に属する企業に対し、幅広く適用される優遇税制措置です。優遇の内容を簡単にまとめると、次のように示せます。

 

  • 集積回路の線幅が28nm以下+経営期間が15年以上の企業等
    → 1~10年目の企業所得税を免除

  • 集積回路の線幅が65nm以下+経営期間が15年以上の企業等
    → 1~5年目の企業所得税を免除
    → 6~10年目の企業所得税を半減

  • 集積回路の線幅が130nm以下+経営期間が10年以上の企業等
    → 1~2年目の企業所得税を免除
    → 3~5年目の企業所得税を半減

 

輸入税の優遇措置

中央政府により、「輸入税の優遇措置」も実施されています。半導体企業等が外国企業から調達する一部原材料につき、輸入関税を免除するという内容です。

主な対象材料は、「中国国内では生産ができないこと」または「中国産では十分な性能基準を満たせないこと」を満たす、自社用生産性原材料・消耗品・浄化室専用建築材料・集積回路生産設備部品などです2030年まで実施するといわれており、半導体産業に関わる企業のコスト削減、そして生産の安定性が増すと期待されています。

 

地方政府による半導体企業への支援策

中国には中央政府と地方政府があり、日本に比べると地方分権の色も強いです。世界最大の人口や広大な国土を中国は有していますので、中央政府だけでコントロールを効かすよりも、現地の情勢に精通する地方政府に権限を持たせた方が効果的だからです。そして中国地方政府による半導体関連企業に対する支援としては、各エリアで様々な施策が挙げられます。以下では特に経済力の大きなエリアに絞って例を挙げていきます。

 

奨励金・資金援助の政策(上海)

上海では、企業育成の促進に向けて複数の支援策が実施されています。例えば、年度営業収入が一定額を超えるソフトウェア企業、集積回路企業に対して、奨励金を出すという制度があります。10億元以上で奨励金を得ることができ、さらに50億元、100億元、200億元と粘度営業収入が大きいほど大きな奨励金が得られるようになっています。

 また、研究開発を積極的に進めて世界を牽引する技術を開発、革新的な知的財産権の形成をして、その使用を許諾するときなどには、上海市から資金援助が受けられるとする制度も設けられています。逆に中国国内のソフトウェア企業、集積回路企業が外国企業から技術のライセンスを譲り受けるとき、その内容に従い、国の輸入製品にかかる利息に関して補助支援が受けられるとする支援策もあります。その他上海では多様な支援策が設けられています。

 

融資促進の政策(江蘇省)

江蘇省では、企業が金融機関から融資を受ける際の利息に対する補助金が出されています。貸付を受けるのが所定の分野に属するプロジェクトであることを前提に、プロジェクト期間内の利息50100%に対応する補助金が与えられます。

 

まとめ

大規模な支援策については中央政府が実施していますが、地方政府による支援策も重要な役割を担っています。そのため各企業がどこに拠点を置いているのか、そのエリアで優遇措置が充実しているかどうかが企業活動にも影響してきます。
ただし国務院による産業政策が根底にあり、最近の傾向としては、半導体産業の国産化に効果的な支援策が多く打ち出されているといえるでしょう。

 

  

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