東京エレクトロンとは?半導体製造装置・FPD製造装置で世界トップクラスのメーカーを紹介
日本が誇る世界トップクラスの半導体製造装置メーカーが「東京エレクトロン株式会社」(以下、東京エレクトロン)です。この記事では、東京エレクトロンがどのような会社なのか、どのような製品を取り扱っているのかを解説し、今後の同社の取り組みについても紹介していきます。
東京エレクトロンとは
東京エレクトロン(Tokyo Electron Ltd.)は、東京都港区に本社を置く半導体製造装置メーカーです。「TEL」と略して表記されることもあります。半導体製造装置だけでなく、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置の分野にも非常に強く、同分野におけるシェアは国内だとトップ。世界でも上位に位置しています。
東京エレクトロンの基本情報
商号 |
東京エレクトロン株式会社 |
設立時期 |
1963年11月11日 |
代表者 |
河合利樹 |
主要事業 |
・半導体製造装置事業 |
資本金 |
549億6,119万円 |
従業員数は系列全体で1万5000人を超えています。また、拠点数も国内だけで25。世界の地域全体(アメリカ、フランス、台湾、シンガポール、韓国など)を含めると77もの拠点を持つ大きな企業です。
世界トップクラスの半導体製造装置メーカー
東京エレクトロンは日本の大手企業というだけでなく、世界全体から見てもトップクラスの業績を持つ企業です。2021年における半導体製造装置メーカーの売上高トップ層には「Applied Materials(アプライド・マテリアルズ)」や「ASML」などが君臨していますが、これらのトップメーカーに並ぶ企業として東京エレクトロンも認知されています。売上高は2兆円ほど。一般消費者にまで広く認知されているメーカーではないものの、時価総額は国内トップクラスで日本経済を支える1つの柱でもあります。
同社の製品の流通が、高精度な半導体製造の実現に大きく寄与していますし、世界の半導体市場にとっても東京エレクトロンは重要な存在であるといえます。なお、これだけ大きな売上高を記録した背景には、新型コロナウイルスの流行も関係しているといわれています。多くの業界は不況に見舞われ、特に飲食・観光業界などは大きな打撃を受けました。しかし半導体業界に関してはリモートワークの需要が増したことに伴いニーズが増しています。PCやクラウドサービスなどの購入・利用が増えたためです。
東京エレクトロンの主な製品ジャンル
東京エレクトロンは、上述の通り、①半導体製造装置と②FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の2つが主要事業です。各ジャンルの製品について簡単に紹介します。
半導体製造装置
半導体は現代社会のあらゆるところで使用されています。パソコンやスマホ、その他電子機器のすべてに組み込まれています。通信技術の発展が近年目まぐるしいですが、通信技術も半導体技術の発展がなければ実現不可能です。そのためデジタル社会の土台となり、鍵を握っているのが半導体なのです。
この観点から、半導体メーカーがよく注目されますが、半導体製造“装置”のメーカーも同等に重要な存在です。半導体メーカーが設計したデバイスを現実の製品として作り出すためには、高精度な製造装置が欠かせません。理論上、ハイレベルなデバイスが作れることを証明できても、製造技術が追い付いていなければ実用化のしようがありません。そのため半導体メーカーの技術力向上のみならず、半導体製造装置メーカーのイノベーションも起こしていかなければ全体としての技術力向上にはつながらないのです。
なお、東京エレクトロンの主なラインナップとしては、ウエハ処理の過程でフォトレジストの塗布・現像を行う「コータ/デベロッパ」が挙げられます。2021年の世界市場シェア89%を持ち、全世界から高い評価を受けています。他にも「ウェーハプローバ」(シェア47%)、「成膜装置」(シェア39%)、「ドライエッチング装置」(シェア29%)、「洗浄装置」(シェア25%)などが挙げられます。
FPD製造装置
フラットパネルディスプレイを製造するための装置も東京エレクトロンの主力製品です。そもそも「フラットパネルディスプレイ」とは、パソコンやスマホ、液晶テレビ・有機ELテレビなどのディスプレイのことを指しています。こうして挙げてみると、FPDも現代社会には欠かせない存在であることがわかるでしょう。
電子機器の処理内容を人間が把握したり、デバイスをコントロールしたりためには、接点となるインターフェイスが必要です。要は、ディスプレイとして表示する機器が多くの場合必要なのです。東京エレクトロンの2022年における世界市場シェアは、「FPDプラズマエッチング装置」で71%。「FPDコータ/デベロッパ」についても21%と、支配的な立場にあります。
東京エレクトロンの強み
東京エレクトロンの強みとして、製造装置の生産性や故障率の低さ、サポートなどが挙げられますが、ポイントは「総合力」にあると評価できます。生産力、開発力、マーケティング力、サポート力など、企業活動で求められる様々な力が高い水準で備わっています。また、半導体製造装置などを取り扱う同社の分野は参入障壁が高いといわれています。新規の競合が現れにくく、同社の高いシェアを維持する要因にもなっています。
まとめ
東京エレクトロンは、「半導体製造装置」と「FPD製造装置」の大きく2つの軸で世界トップの業績を記録する大手企業です。半導体市場が世界経済の中心的な位置にあること、そして今後も発展していくと見込まれていることから、東京エレクトロンもさらに伸びていくと予想されます。
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