ベルギーには、非営利研究機関「IMEC」という組織が存在しています。同組織は様々な分野で新たな技術開発を先導しており、半導体業界にも影響を与えています。この記事ではIMECとはどのような組織なのか、何をしているのか、というところに焦点を当て、また日本との接点についても説明をしていきます。

IMECの概要

IMECは「Interuniversity Microelectronics Centre」の略称で、ベルギールーベンにある研究開発機関を指しています。半導体技術の研究開発に重点を置いており、半導体研究開発機関としても世界最大級です。その他ナノエレクトロニクス、バイオエレクトロニクス、量子エレクトロニクスなど、様々な分野に取り組んでいます。IMECは世界中の大学や企業とも連携していますし、半導体技術の教育にも力を入れ、世界中の学生に半導体技術を学ぶ機会を提供しています。組織の特徴をまとめると、次のように整理することができます。

• 世界最大級の半導体研究開発機関の1つ
• ナノエレクトロニクス、バイオエレクトロニクス、量子エレクトロニクスなど多様な分野に携わっている
• 世界中の大学や企業と連携して研究を行っている
• 半導体業界での教育にも力を入れている
• 半導体技術の研究開発において世界をリードしている

IMECの取り組む研究開発の主な分野

IMECが取り組む分野を次のようにピックアップすることができます。

他にも、システム開発、生産技術、環境技術、ヘルスケアに関することなど、多様な領域にIMECは携わっています。低消費電力・高性能なマイクロプロセッサ、高額質のディスプレイ技術、長寿命・高性能なバッテリー技術、安全・高効率なエネルギー変換技術、新材料とデバイス開発など、多くの成果も出しています。

IMECと日本の関わりについて

IMECはベルギーという日本から遠く離れた場所に本拠地を置く組織ですが、日本との接点を一切持たないということでもありません。ここ最近の出来事を取り上げても、日本と連携する様子がうかがえます。例えば、日本の企業と手を取り合って研究開発プロジェクトを展開し、また、技術の移転も積極的に行っています。

日本を半導体製造の重要な拠点とするため、日本企業と連携してプロジェクトが進められています。また、2023年には北海道に新たな研究施設を開設。日本企業と共同開発し、半導体製造技術の研究開発にも注力しています。同年、日本の新半導体メーカー「ラピダス」に対する支援も公表しています。このサポートによりIMECはラピダス製の半導体製造装置を用いた研究開発を進行する予定です。IMECと日本とのパートナーシップは、半導体技術の研究開発を一層加速させ、日本が半導体製造の中心地になることの後押しになると期待されています。

さらに、日本の首相がIMECを含む世界の主要半導体メーカーと会談を行い、半導体投資や連携の要請を出したことも大きなニュースです。参加した企業は、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子、米国のインテルやマイクロンテクノロジー、アプライドマテリアルズ、IBM、そしてベルギーのIMECです。

半導体供給網の強化が主な目的であり、この会談で首相は、半導体が経済成長・競争力の源泉になる重要な存在であることを強調し、これから日本が半導体製造の中心的ポジションに立つためにこれらの企業と努力を続ける意向を表明しています。会談の結果、各社は日本に対し投資を増やす方針を発表しています。これらの投資計画は日本が半導体業界において力をつけるために重要なステップであり、IMECやその他主要企業と連携していくことが大きな意味を持つことが示されました。

まとめ

IMECは先端技術の研究開発を通じて半導体産業を牽引する非営利の研究機関です。半導体のみならず幅広い研究領域をカバーしており、その成果を産業界へと還元しています。日本との協力関係も築いており、日本の半導体技術の研究開発を加速すること、日本が半導体製造で中心的存在になることを後押ししています。国内の組織ではないものの、IMECの動きは今後の日本にも一定の影響を与えることになるでしょう。

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