半導体業界の変動と今後の展望について
半導体業界には将来性が見込まれています。すでに短期的に好況と不況のサイクルを繰り返しながら、全体として急速な成長を続けています。なぜこのように半導体業界は伸びてきているのか、今後どのような変化が起こると考えられているのか、ここでまとめていきます。
データセンターのへの利用が増す
これまではパソコンやテレビなどの電気機器の利用による半導体のニーズが強かったのですが、近年その傾向が変わっています。電気機器の発展が半導体の成長を支えるのではなく、情報通信技術の発展が半導体の成長を支えるように変貌しているのですここ数年間の半導体市場の急成長も、主にIT機器・ITサービスの発展によるものと考えられています。
というのも、クラウドサービスを展開するにも大量のサーバーが必要となり、その分データセンターの需要が増加しています。データセンターに置かれるサーバーには様々な種類の半導体が利用されており、半導体なくしてサーバーを機能させることはできません。情報技術もより高度なものが求められるようになり、高度な性能を発揮するには、それだけ高機能な半導体を組み込まなければなりません。今後もさらにデジタル社会の広がりと高度化が進むとみられていますので、半導体に対するニーズも増していきます。
半導体製造におけるDX化
様々な業界で「DX化」という言葉を耳にします。DXとは「Digital Transformation」のことであり、要は「デジタル技術を駆使した改革」を意味します。データ利活用を促進することで企業の活動も高度化・活発化させることができ、無駄な労力も削減できると期待されています。そしてDX化を支えているのが5GやIoTの技術です。当然、これらの技術の大元には半導体があります。半導体の性能が向上することでより高度な情報技術が実現され、各企業のDX化も実現できるようになっています。
半導体業界自体もDX化が進められています。半導体製造の現場にAIが導入され、人だけでは発見できなかった欠陥を見つけたり、これまで人が対応していた作業をAIにより省力化したり、様々な側面から生産性向上に寄与しています。またAIの良さは「機械学習」にあります。AIによる分析を繰り返すことで最適化が進み、精度が向上していきます。そのため導入して終わりではなく、将来にわたりその効果が増していくという利点を持つのです。
製造工程の自動化による生産性向上
半導体製造も自動化が進んでいます。各製造工程が別個に自動化されるのではなく、「製造ライン全体の自動化」がポイントです。各工程で自動化ができても、全体の自動化ができていなければ、工程間で作業員による装置の取り換え、搬送などの作業を行わなければなりません。
しかし搬送ロボや生産管理システムの導入により全体の自動化ができれば、生産性を大幅に向上させることができます。すでにこうした自動化システムを導入した事例はあり、今後多くの工場で完全な自動化に向けた動きが始まるとみられています。
集積度だけに頼らない性能の向上
基本的に半導体機器の性能向上は集積度の増加に大きく頼っていました。実際、年々集積度は増し、性能や製造コストも加速的に改善されてきたのですが、近年その微細化もそろそろ限界を迎えると言われ始めています。とはいえ半導体に対しては常にさらに上の性能が求められており、高機能化を止めるわけにはいきません。そこで微細化だけに頼らない、様々な方策による性能向上が進められています。
その1つとして注目を集めているのが半導体の“3次元化”です。2次元的に、平面上の微細化を進めるのは限界に近づいていることから、上の空間も利用した3次元構造での微細化で性能向上を目指そうとしているのです。この技術を推し進めれば半導体の性能の成長もストップさせずに済むでしょう。3次元化のために重要なのが「パッケージング工程」です。パッケージの技術水準を上げることで、さらなる集積化にも対応していけます。すでにパッケージ工程に関わる装置の市場は大きな成長傾向を示しています。
2030年における市場規模の予測
現代における世界の半導体市場は50兆円規模です。これが2030年には倍増し、100兆円のレベルに達すると予測されています。2030年にかけてITサービス、とりわけ5GやAI、IoTの分野が拡大していくとみられ、これまで以上に加速的に成長していくことでしょう。また、半導体市場が大きく成長していくことに伴い、半導体製造装置市場も拡大していくと考えられています。双方の市場は密接な関わり合いを持っており、一方が大きく変動すれば他方もその影響を受けます。
例えば半導体機器のニーズが増大すれば高性能化に向けて半導体メーカーが設備投資を行い、それを受けた半導体製造装置メーカーはより高い生産性を実現する装置を開発します。半導体メーカーに販売し、半導体製造装置メーカーは利益を生み出します。半導体メーカーもより高度な装置を使って顧客のニーズを満たし利益を得ます。実際にはこのように単純な機構とはなりませんが、双方の市場が相互関係に立っていることに違いはありません。
まとめ
半導体市場、そして半導体製造装置市場は、少なくとも2030年にかけては大きな成長を遂げると予測されています。その背景にはITサービス等の発展があり、すでにデータセンターに置かれるサーバーに利用する半導体のニーズが増しています。今後の発展、そして半導体機器がどのようにして性能を向上させていくのか、注目しておくと良いでしょう。
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