ニコンは半導体製造装置メーカーとしても有力!主な事業内容や近年の動向を紹介
カメラや望遠鏡などの分野でよく知られる「ニコン」ですが、これら光学機器以外にも、半導体製造装置も取り扱いがあります。半導体業界におけるニコンがどのような立ち位置にあるのか、どのような事業を行っているのか、当記事で解説します。
ニコン(Nikon)の概要
「ニコン」とは日本の光学機器メーカーで、100年以上の歴史を持つ、著名な大手企業です。光利用技術、精密技術をコア技術として保有し、様々な製品やソリューションを世界中に向けて提供しています。日本国内に限らず、グローバルに展開することで、豊かな社会の実現を支援しています。
カメラメーカーとして知られる
主にカメラ、双眼鏡、顕微鏡、望遠鏡などの製品を提供しています。
これらは、ニコンの中でも柱となる「映像事業」に属する製品で、具体的には「デジタル一眼レフカメラ D6」「ミラーレスカメラ Z9」「レンズ一体型デジタルカメラ COOLPIX P950」などが主要製品として挙げられます。製品の製造販売だけでなく、映像に関して多角的なサポートを実施しており、プロ写真家による写真教室の開催やマガジンの発行。フォトグラファー向けのサポートサービスの提供、フォトコンテストの開催なども行っています。
半導体製造装置メーカーとしても有力
一般の方にとってのニコンのイメージは「カメラメーカー」ではないでしょうか。しかし半導体製造装置メーカー、とりわけ露光装置に強いメーカーとして半導体業界では知られています。
実際、半導体製造装置メーカーとしても日本でトップクラスの売上高を持ち、同業界に欠かせない存在としてポジションを確立しています。しかもその傾向は年々変化しつつあります。売上高ベースで見ると2015年には映像事業が過半数を占めていたのですが、2020年には精機事業等が拡大し、映像事業を押さえてニコンの中心的事業になっています。
ニコンの精機事業について
ニコンには広く知られている映像事業のほか、「精機事業」「ヘルスケア事業」「コンポーネント事業」「デジタルマニュファクチャリング事業」などがあります。精機事業では、スマート社会に貢献する多様な精密機器を取り扱っています。その1つが露光装置です。
半導体プロセスの前工程(ウエハの製造工程)では露光と呼ばれるプロセスが欠かせません。そして微小な回路パターンを作るためにはそれ相応の露光装置が必要で、ナノレベルにも対応できるものが世界で求められています。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)を製造するためにも露光装置は必要です。ガラスプレートの表面に回路パターンを露光する必要があり、ここでもニコンの技術が活かされています。
その他の事業内容
ヘルスケア事業も近年発展しつつあります。世間的にも注目度が高まる分野であり、同分野でもニコンの顕微鏡技術などが活かされています。ニコンのコア技術は「光学技術」や「画像処理」「画像解析」です。これらを駆使することで、以下3つのソリューションを提供しています。
1.ライフサイエンスソリューション
生命現象の可視化や解析によるバイオサイエンスの研究、創薬分野への貢献2.アイケアソリューション
眼疾患の発見やQOLに寄与する眼科システム3.細胞受託生産ソリューション
再生医療の実用化に寄与する再生医療用細胞・遺伝子治療用細胞の開発・生産
このように、最先端の顕微鏡技術、精密機器の提供、再生医療に対する支援などを行い、バイオサイエンスの進化をニコンが後押ししています。また、広く産業や科学技術の発展に貢献する「コンポーネント事業」も行っています。
同事業は、①ロボット関連のソリューションを提供するデジタルソリューションズ事業、②宇宙探査などにも関わり特殊で高度なニーズに応えるカスタムプロダクツ事業、③ガラス事業から構成されています。そしてもう1つの主要事業が「デジタルマニュファクチャリング事業」です。主に測定や検査システムを提供する事業です。
導入支援や運用サポートに注力
ニコンは長い歴史の中で高度な技術力を蓄えてきました。また、社会のニーズに合った製品を生み出すことでニコンブランドも築き上げられています。こうした技術力やブランド力がニコンの強みであることはもちろんですが、最近ではポストセールスにも注力するようになっています。※ポストセールス:製品を提供した顧客に対し、購入後も継続的なサポートを行う営業活動のこと。
ニコンが半導体市場でも有力なメーカーであるとはいえ、常に順調なわけではありません。他にも有力な露光装置メーカーは存在しており、他社のシェア拡大が同社にとっての痛手となることもあります。そこでサービス事業にも力を入れるようになり、販売した装置のメンテナンスであったり改良であったり、導入・運用の支援を手厚く行うようになっています。
まとめ
ニコンはカメラを製造販売するだけでなく、光学機器メーカーとしての技術力を生かして露光装置の製造も行っています。半導体プロセスで使用する露光装置、FPDの製造で使用する露光装置を提供し、その他にも複数の事業を展開しています。近年の動向としては、これら精機事業が拡大していること、その精機事業に関するサポート事業にも注力していること、が挙げられます。
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