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マルチモーダルセンサー開発の重要性とデジタル社会との関係、各国の取り組みについて

豊かなデジタル社会を実現する上で重要なテクノロジーの一つがセンシング技術です。センサーの存在がIoT技術を支え、データの利活用を推進することに繋がります。私たちの日常生活をより便利なものとしますし、データの利活用はDX推進になるなど、ビジネスにおいても非常に重要なことであると近年は認識されるようになっています。

そこで以下ではセンシング技術とデジタル社会の関係、とりわけ世界的にも開発トレンドとなっている「マルチモーダルセンサー」について解説していきます。

 

デジタル社会の実現にはIoT技術が重要

政府は安全で安⼼な、豊かなデジタル社会の実現を目指しています。そしてこのデジタル社会を実現するにはIoT・AI・量⼦デバイスの存在が不可欠であり、安全かつ環境への負荷が小さい通信、大容量でありつつ低消費電⼒の通信ができることが必要と捉えられています。

  

さらに、これらを達成するための重要な施策の一つとして「IoTデバイス集積」が掲げられています。具体的には、様々な物理センサー、化学センサー、生化学センサーなどを統合したマルチモーダルセンサーネットワークの構築が重要と考えられています。多様なセンサーから得られたデータを組み合わせれば、単体のセンサーのみでは得ることのできない⾼付加価値情報が創出されると見られているからです。

この実現により、社会インフラの異常検知、自動運転や人間の健康状態管理など、多分野に影響が及びます。例えばすでに実用化が進んでいる分野のみならず、マルチモーダルセンサーに加え脳型AIチップ(人間の脳のように、高度な認識と判断を高効率で行うAIチップ)などを用いることで、自律的に人間と共生するスマートロボットの実現も期待されます。人間との連携、さらには他のロボットの行動予測から瞬時に判断・行動することで人間以上の働きを行うことも考えられます。

 

IoT技術を支えるセンシング技術の進化

デジタル社会実現で重要とされるIoT技術ですが、その基礎にあるセンシング技術を進化させることが非常に重要です。主に以下5つの進化が指標となります。

  • 検知性能の向上
  • 電子回路の集積化
  • アレイ化
  • 耐環境性の向上
  • マルチモーダル化

  

解像度の向上や、明暗のレンジ拡大、速い動きを捉える取り込み速度の向上などは基本性能として大切なことです。また回路が集積化されることで小型軽量化・低消費電力化・低コスト化が進むためこちらもやはり重要です。その他アレイ化によって3次元的な情報の取得ができたり、様々な環境で使えるよう耐環境性を向上させたり、といったこともポイントになります。

なお、「マルチモーダル化」とは、異種センサーの機能を一つにまとめることを意味します。例えば人間の活動や健康状態を把握するには、運動量や血圧、体温など、様々なデータが得られなければなりません。有意義な成果を得るには、各データを用いて多角的な分析ができなければならないのですが、すでにデータ取得を1つのチップ、1つのパッケージとなったセンサーでできればより便利です。装置装着の負担が軽減されますし、メンテナンス性なども向上します。

 

マルチモーダルセンサーの開発が進む

AIなどを活用して社会に潜む危険を予知したり、状況認識をしたりするには、多種多様なデータが必要です。高度なAIにより高度な分析をするにも、その判断材料となる優良なデータがなければなりません。そこで上のように、マルチモーダル化された、マルチモーダルセンサーに注目が集まっているのです。

IoT技術は国内のみならず世界的にトレンドとなっていることから、マルチモーダルセンサーに関しても開発トレンドとなっています。マルチモーダルセンサーによって収集・蓄積されたデータから何かしらの予兆を導き出すことができれば、自動運転の水準を上げ、社会インフラの保守が実現。医療・ヘルスケア、農業などにも応用でき、社会全体の水準が向上するでしょう。

 

各国のセンシング技術への取り組み

日本では、JST産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラムにおいて、イオンイメージセンサを基盤とし、複数の物理化学現象を検出するマルチモーダルセンシングの開発が産学共同で進められています。また、ヘルスケア関連でもセンシング技術を扱うプロジェクトが実施されています。

日本はセンシング技術に強みがあるとされ、センサーに関して、日系企業は世界のシェア3割を超えるとされています。そのため今後国内でもマルチモーダルセンサー実用化に期待が寄せられています。 

アメリカではジャイロ技術を中心に、MEMS関連の開発が継続的に支援されています。また軍事応用も含めたセンサー開発は活発に行われています。ヨーロッパでも、スマートシティ実現を目標に、それに関連する各分野でのセンサーネットワーク技術の開発が進められています。

 

まとめ

IoT技術は社会全体を変える重要なテクノロジーです。そしてこのIoT技術で欠かせないのがセンシング技術であり、よりデータ収集や分析の質を上げるためにはセンサーのマルチモーダル化が鍵を握っています。

各センサーの開発が世界的に進められていますし、センサーの構成要素である半導体も日々進化を続けていますので、近い将来日常生活にも大きな変化が生じるかもしれません。

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