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半導体の線幅の現状と最新動向と現状|これまでの主流プロセスと最先端技術とは

半導体の「線幅」は、半導体素子の性能を大きく左右する要素の1つです。線幅とは半導体チップに描かれる電子回路の幅のことであり、この線幅が狭くなるほど、より多くの回路をチップ上に集積できるため、結果的に半導体の性能向上に寄与します。しかし線幅を細くするには高度な技術と精密な設備が必要で、微細な素子を製造するには様々な課題も伴います。今回はこの半導体の線幅についての最新動向、主流の量産プロセス、経緯、最先端技術とその課題などを紹介していきます。

 

近年の線幅に関する動向

現在の半導体産業では常に縮小化」が追求されています。線幅においても同じで、線幅の縮小がチップの性能向上と消費電力の削減を可能にすることに由来します。ここ最近は7nm、5nmプロセスの商用化が進み、量産が開始、スマホ、データセンターなど様々な業界がその恩恵を受けています。さらに、技術的なブレークスルーとして注目されているのは「3nm以下」への進出です。3nmプロセスの研究開発が進み、一部のメーカーではすでに量産が開始されています。

 

線幅に関わる最新の出来事

2023年5月には、台湾のファウンドリ企業である「TSMC」が3nm プロセスにおける量産を開始したとのニュースが出ました。また、アメリカの半導体メーカー「インテル」、韓国の半導体メーカー「サムスン」3nmプロセスの量産開始を予定していますが、未だ実行には移っていない状況です。

サムスンについては量産開始が2023年には予定されていたのですが、これを2024年に延期するとの情報が出ています。インテルは2024年の量産開始を予定していたのが、2025年に延期するとの情報が出されました。いずれのメーカーによる延期も、半導体製造に必要な設備を開発するのがスムーズにいっていないことが原因とされています。

 

線幅技術の経緯

半導体はトランジスタの開発から始まりました。その当時からナノレベルの線幅であったわけではありません。その当時の1950~1960年代は数十ミクロンレベルの線幅でした。その後各社の開発により急速に線幅は小さくなっていくのですが、1ミクロンを切るのは1980年代以降です。

そしてナノレベルの線幅となったのは比較的最近の話であり、今後も線幅の縮小は継続していくと予想されています。半導体メーカーはさらに線幅を縮小していくことで半導体チップの性能を向上させ、新しい製品・サービスの開発を目指しています。ただ、どこまでも線幅を縮小していけるわけではありません。

 

最先端の線幅技術

現在、半導体線幅技術の最前線と呼ばれているのは「2nm」プロセスの技術です2nmプロセスとは半導体の線幅を1mの10億分の2のレベルにまで縮小する技術であり、この技術が実用化されれば半導体の性能が従来の2倍近くにまで高まるともいわれています。さらに、エネルギー消費も従来の半分程度にまで抑えられると考えられています。

 

最先端技術の課題

最先端技術にはそれ相応の課題が伴います。まず、線幅を縮小するほど製造に必要な設備や技術に高い精度が求められます。それに伴うコストの増大も避けられません。例えばEUVリソグラフィの設備は非常に高価であり、それを導入するだけで大きな初期投資が必要となるのです。また、微細化するほど物理的な限界にも直面します。半導体は原子レベルでの作業が求められるほどに微細化していくと量子効果と呼ばれる現象により電子の挙動が予測困難となるおそれがあるのです。

さらに、微細化したチップの冷却も大きな課題とされています。半導体素子が稼働するにあたり熱も発するため、適切な冷却技術が必要です。これに対応するために新たな冷却技術の開発、既存技術の改良が求められます。以上のような課題に対応するため、新たな製造技術を開発したり、高度な熱管理技術が必要になったりします。これらの課題は半導体業界が今後も引き続き直面するとみられている大きなテーマです。

 

まとめ

半導体技術はその発展の過程で常に線幅の縮小という課題に取り組んできました。その努力によりチップ上の回路数を増やし、処理能力や性能を向上させることを実現してきたのです。現在の取り組みといえば、3nmプロセスの量産を実現すること、そして最先端の線幅技術として2nmプロセスを確立することが挙げられます。これらを実現すれば、さらに性能を向上した半導体素子が開発可能となり、市場にも広く流通することになります。しばらくすると私たちが体感できるほどに日常生活にもその変化が現れることでしょう。

このように、半導体線幅の微細化は特定のニッチな領域での技術が進歩するだけでなく、社会全体の進歩に直結する問題です。新たな製品やサービスの創出、さらにそれが新たなイノベーションを生み出すなどの好循環を生む可能性を秘めています。そのため半導体業界の動向、その1つのトピックである線幅技術の動向についても、すべての人々に関わる注目すべき話題であるということができます。

 

 

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